第117話 舞奈の分析による可能性
……『異形化因子』が例の薬品だとして、それを作ろうとしている――いえ、作ろうとしていて完成させたのが『錬金術師』たち……?
そして、その『錬金術師』たちの目的は、人の手で生み出された生物への魂の移植……
それから、突然異形化した璃紗さん……
更に、璃紗さんの生徒手帳が学校の隠し部屋にあり、その部屋には白骨死体もあった……
「ひとりでなにやらブツブツと呟いているけど、どうかしたのかい?」
そう問いかけてきた阿良木先生の方へと顔を向け、
「……ひとつ疑問があるのですが、魂を別の生物――別の肉体へと移植するという行為を実行に移した場合、元の肉体はどうなるんでしょう……?」
と、そんな風に問いかける私。
「元の肉体、ブル? 肉体の方は空っぽ……つまり、抜け殻になる気がするブルよ」
「ああ、魂がねぇわけだから、当然、生命活動は停止するはずだ。つまり……死体――死亡している状態になるんじゃねぇか?」
「そうだね、私もそう思うよ。ただまあ……強引に魂を引き剥がすとかいうトンデモ行為が前提にある事を考えると、肉体そのものが崩壊して灰になったり、消し飛んでしまったりする可能性も、十分ありえる話ではあるけれどね」
私の疑問に対し、皆さんがそんな風に返してきました。
私はそれを聞いて、
「死体……崩壊、消し飛ぶ……魂……移植……」
と呟くと、それをそのまま頭の中で何度も繰り返し、あれこれと『分析』していきます。
そして――
……っ!
も、もしかして……っ!?
頭の上に電球が点灯しそうなくらいのひらめきと共に、全てが繋がります。
――そう。『分析の結果』……ひとつの可能性が、導き出されたのです。
と、その直後、
「ブル? 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているブルよ。どうかしたブル?」
なんて事を、私の顔の目の前に近寄って来ながら告げてくるブルルンちゃん。
……そ、そんな顔しているのでしょうか……。まあ、自分で導き出した結果に対して、自分で驚いているのはたしかですが……
というか、良くそんな言葉を知っていますね……。マスターである成伯さんから知識をある程度得ていたりするのでしょうか?
などど、そんな事を考えながら、
「……璃紗さんも司書さん――いえ……大津原も、新たな生物……つまり、『ホムンクルス』へとその魂を移したのではないでしょうか? まあ、瑠璃さんの方は正確に言うのなら、『移された』ですが」
と、分析の結果――推測を告げる私。
すると、今度は阿良木先生の方が『鳩が豆鉄砲を食ったような顔』になりました。
うーん、この反応からすると、阿良木先生も私と同じ結論を頭の中で導き出した……といった所でしょうか?
もしそうであるのなら……私の口にした推測が事実である可能性は、更に高まったと言っても過言ではないでしょう。
ちょっと区切りが悪いですが、この先うまく区切れそうにないので、一旦ここで区切ります。
とまあ、そんな感じでまた次回! 次の更新は、1月25日(火)を予定しています!




