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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL1 異世界の大魔道士、高校生になる part2
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第113話 異形と魔法剣

「グ……グ……。テ……キ……ハイ……ジョ……」

 そんな声と共にこちらへ迫る異形。


 それを認識した俺は思考を中断。

 魔法剣を両手で持つと、それを右脇に構え……正面を薙ぐように振るった。

 その剣の動きに合わせるようにして、青い三日月状の衝撃波――実際には単なる魔力の塊だが、まあ衝撃波でいいだろう――が生み出され、異形を迎撃するべく飛翔。


 異形は当然のようにそれに気づき、6本ある手の下向きの2つの手を地面に付けると、それをバネにする形で跳躍。俺の放った衝撃波による遠隔攻撃をあっさりと回避してきた。


 が、それでいい。何故なら今の攻撃は、敵対する相手の次の行動を、こちらの想定するものへと誘導する為の一種のトラップ、あるいはフェイントと呼ぶべき物であり、異形はそれに完璧なまでに引っかかった形だからだ。


 心の中で上手くいった事にガッツポーズをしつつ、左へと振り切った剣の切っ先を斜め下へ向ける。

 そして、その状態を維持したまま前方へと踏み込み、足が地面に着くと同時に左手を剣の柄から離しつつ、右手で剣を水平に、切っ先が左に向く形にした。

 この時点で異形との距離はかなり縮まっている。むしろ、既にあちらの攻撃可能範囲内だ。

  

 案の定、異形が空中から腕を伸ばして攻撃を仕掛けて来ようとするが、無視。

 その動きは想定していた物であり、それを防いだり避けたりする必要は一切ない。


 俺は左手を正面に置き、魔法を発動させるべく精神を集中させると、剣を素早く右方向へと引っ張るように、水平を保ったまま動かして左手の前を通過させた。


 通過の瞬間、左手から赤い光が発せられ、魔法が発動。剣に螺旋状の炎が纏わりつく。……いや、纏っているのは俺自身だから螺旋状の炎を纏う、か?


 まあ何はともあれ、炎の剣と化した魔法剣を跳躍しながら勢いよく振り上げる。

 すると、まさに剣でアッパーカットを繰り出すかのようなその動きに連動して、剣の螺旋の炎が、まるで扇子を広げるかの如く勢いよく広がり、伸びてきた異形の腕を焼いた。

 

「ア……ヅ……ッ!」

 異形と化しても熱い物に触れたら手を引っ込めるという反射動作は残っているらしく、焼かれた腕を引っ込める異形。

 

 その姿を目で追いつつ、俺は空中に擬似的な足場を作り、それを蹴る形で加速力を付けながら再跳躍した。いわゆる2段ジャンプという奴だ。

 同時に左手を刃に近づけて炎を消し去ると、代わりに紫色の雷光を纏った。

 そしてそのままバチバチと激しくスパークし続ける魔法剣を両手で構え、異形めがけて勢いよく突き出す俺。

 要するに、闘牛が闘牛士に向かって突進するかの如きそんな動きを空中で行い、異形に向けて剣と共に体当たりする、というシンプルな攻撃方法だ。

 

 異形は俺のその攻撃に即座に反応し、その身体を空中で器用に捻りつつ、頭の触手で攻撃をガードしようと――いや、違うな。剣を絡め取ろうとしてきたようだ。

 しかし、そんな事が出来るとでも思っているのだろうか?

 

「甘いっ!」

 俺がその声を発した直後、剣を絡め取ろうとした触手に紫色の雷光が接触。

 バチンッという音と共に、その触手を焼き切った。


 そこに一斉に触手が殺到してくるが、無駄というもの。

 全て焼き切り、穿ち、貫く。

 

 殺到してきた触手をぶち破り、そのまま勢いを落とさずに異形へと激突。

 その脇腹に剣が突き刺さった。

 

「イ……ギャァアアアァァアァアァァアアァァァッ!」

 突き刺さった剣と、そこから放たれる雷光。ふたつの痛みに苦悶の叫びを響かせつつ、俺を振り払おうと腕を伸ばす異形。

 感電によるスタン――気絶を狙った攻撃だったのだが、どうやらそうはいかなかったようだ。

 

 俺は異形の身体を踏み台にする形で突き刺さった剣を抜き放ちながら、後方へバックステップするような動きで空中を滑る。

 

 そして間髪入れずに剣をX字に振るい、最初に放った青い衝撃波を2つ発生させ、それを飛ばす俺。

 と同時に落下速度を制御し、素早く着地した。

 

 着地の瞬間、俺の放った青い衝撃波をまともに食らった異形が、それに押し出される形で吹き飛び、地面へと激突するのが見えた。

 しかし、異形は地面に激突しつつも6つの腕を巧みに使い、受け身を取りながら体勢を立て直し、バク転するかの如き動きで即座に立ち上がってみせた。


「って……なんなのよ、あのとんでもない動きは……」

「異形化する前の『武術の心得』が異形化しても残っている……といったところじゃないか? なかなかやるな」 

「違うわよっ! あっちじゃなくて、あなたの方よっ!」

 俺の返事に対し、やや怒気を帯びた声でそんなツッコミを入れてくるかりん。


 どうやら異形の事ではなく俺の事だったらしい。

 うーん……。そんなとんでもない動きをしたつもりはないんだがな……

というわけで(?)今回は魔法剣を使った接近戦でした。

攻撃魔法をぶっ放してしまうと吹き飛ばしかねないので、あえてこんな戦い方をしています。

まあ、なかなか無茶な……というか、魔法を使わないと絶対無理な動きですが……


といった所でまた次回!

次の更新は……1月13日(木)を予定しています!

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