第101話 阿良木亜里沙
「そういえば、緋村君……だっけ? あの少年は放っておいても大丈夫なの?」
「まあ、用事が出来たと連絡はしておいたから問題ないだろう」
ふと思い出したかのように問いかけて来たかりんに対し、そう返しながらメッセージアプリを起動して確認する俺。
すると、了解を示す猫耳少女の絵――スタンプがそこにはあった。
どうやら問題なさそうだ。
しかし、猫耳か……。向こうの世界でも獣人族は数が少ないから、数人しか出会った事ないな。
ああ、そういえば獣人族をほとんど見かけない事に対して、光一が残念がっていたっけなぁ……
……というか、その後、聞いたあの3人娘が獣耳風のカチューシャを付けて現れたのは最早ギャグでしかなかったが……
――などと当時の事を思い出している内に、学校へとたどり着く。
「まずは保健室へ行けばいいんでしたっけ?」
という舞奈の問いかけに頷き、「ああ、そうだ」と返し、俺たちは保健室の方へと向かう。
「ちなみに、欠片の気配を薄っすらと感じるわ。……本当に薄っすらとだから、あるはずだと疑ってかからないと気づかなかったわね、これは……」
そうため息混じりに言って首を横に振るかりん。
「まあ、先日の一件で校舎内の欠片は処理出来たと思っていたしな」
「そうですね。私もその可能性までは考えていませんでした」
「それは、私もそうだよ。まさかまだ欠片が残っているなどとは夢にも思わなかったからね」
俺と舞奈の言葉に続くようにしてそんな言葉が聞こえてきた。
その声の方を見ると、そこには保健室の前でこちらを迎える形で立つ、養護教諭の亜里沙――阿良木亜里沙の姿があった。
まあ……名字も名前も、こっちへ来る時に桜満から聞いて知ったばかりだが。
「阿良木先生、わざわざ休みの日にすいません」
そう言って頭を下げる舞奈に合わせるようにして、俺とかりんも頭を下げる。
「何、これと言った用事があったわけでもないし、気にする必要はないよ。それよりも今起きている事の方が重要だしね」
そんな風に言って、腕を組む亜里沙。
「それで、司書教諭は?」
単刀直入とばかりにそう問いかけるかりん。
「この間、防火扉が開いてしまっていた場所があっただろう? あの奥に向かう姿をカメラで捉える事は出来たが、その先は謎だね」
「カメラなんてあったんですね」
「仕込んでおいたともいうけどね」
舞奈の言葉にサラッとそう返す亜里沙。
……それは隠し撮りという奴なのでは……
例の女性を確保した方法共々、灰色だな……まったく。
呆れつつも、今回はそのお陰でどこへ行ったのかわかるので良しとしよう。
無論、そこへ向かったであろう事自体は予測していたが、確定したのは大きい。
「問題は4階に絞られたと言っても、かなり広いという事よね……」
「ま、そこは言ってみれば何かわかるだろう」
かりんのもっともな懸念に対し、俺はそんな風に軽く返す。
「そうですね、私もそう思います。かりんの欠片を感じ取る力なり、成伯さんの探知の魔法なり、私の分析なり、方法は色々ありますからね」
「……たしかにそうね。それじゃあ行ってみましょうか」
舞奈の言葉に納得し、そう言ってくるかりん。
それに対し、
「ああ、無論私も同行するよ。魔法はさすがに使えないけど、それなりに色々戦う術は持っているからね」
と、そう言って右の拳を左の掌に打ち付けてみせる亜里沙。
なるほど……改めて良く見ると、たしかに戦いに慣れているような雰囲気だな。
まあ、戦いになどならない方が良いんだが、もしもの時はイチ戦力として頼るとしよう。
……今回の話は、色々あって更新予定時間の少し前にギリギリ書き終えました……
その為、未調整状態なので後で微調整するかもしれません……
といった所でまた次回! 次の更新は11月30日(火)を予定しています!
ただ……その次から1~2回程、年末進行の都合により、最近の更新頻度よりも1日程度遅くなるかもしれません……




