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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL1 異世界の大魔道士、高校生になる part1
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第9話 大魔道士の経験のないもの

「ん? 紘都の友人か?」

「ああ、俺のクラスの小井出鈴花だ。――そして、紘都の恋人でもある」

 俺の疑問にそう答えると、ニヤッとした顔を紘都に向ける雅樹。

 

「め、面と向かってそう言われると恥ずかしいなぁ……。たしかにその通りだけど」

「あはは、わかるわかる。私も友達に言われると恥ずかしいし! まあ嬉しいけどっ」

 恥ずかしげに言う紘都と、笑いながら言う鈴花。

 

 うーん、青春を感じるな。というか、言葉にも甘さを感じるぞ。

 ……俺の青春は魔法の修行と研究に全て費やされたから、こういうのはちょっと羨ましい。

 

「ところで見慣れない顔が――って、もしかして例の紘都のクラスに入った転校生君?」

 鈴花が俺をじっくりと眺めながら、もっともな疑問を口にする。

 

 正確には、この学校に来る前はどこにも通っていなかったので、転校ではないのだが……まあ、そこはどうでもいいか。

 

「あ、うん、そうだよ」

 俺が答えるよりも先に紘都がそう答えたので、俺はそれに続く形で名前だけ告げる。

「――成伯透真だ。よろしくな」

 

「私の名前は……って、さっき緋村が言ったからいらないか。って事で、紘都ともどもよろしくね! ちなみに私、新聞部と陸上部を兼任しているから、近い内にあれこれ話を聞きに行くよ!」

 なんて言葉を返してくる鈴花。

 

「そ、そうか……。なんだかよくわからんが、お手柔らかに頼む」

 根掘り葉掘り聞かれると少々厄介だなぁ……と思っていると、

「まあ……鈴花が暴走しそうになったら僕が止めるよ」

 俺の言葉に続くようにして、紘都がそんな風に言ってくる。

 それは助かるな。紘都の言葉なら効果がありそうだし。

 

 と、そんな紘都へと鈴花が少し不安げな表情で問いかける。

「ところで紘都、お弁当作ってきたんだけど……一緒にどう? もう予定があったりする感じ?」

 

 あー……おそらく、俺と雅樹が一緒だからだろうな。


「なーに、こっちの事は気にすんな。お前らの邪魔をする気はさらさらねぇよ」

 そう戯けたように言って肩をすくめてみせる雅樹。

 俺はそれに同意するように無言で頷く。もちろん邪魔するつもりなどない。

 というか、むしろどんどん甘い展開になってくれ!

 こういう青春は経験した事も見た事もないから、実に興味深い!

 

「という事だから、安心していいよ」

「うん! 3人ともありがとうね! それじゃいこっか」

「うん。どこで食べようか? 鈴花の作る物は何でもおいしいから楽しみだよ」

「ふふっ、そう言ってくれると嬉しいな」


 おおっ、物語の中だけだと思っていた光景が目の前で展開されている!

 コウイチたちも、もっとこういうのを見せて欲しかったもんだ。

 

 などとコウイチたちの事を思い出しつつ、ふたりの様子を温かい目で眺めていると、雅樹が呆れた声で、

「なんでそんな、尊い物を見た! みたいな顔してんだ……?」

 と、そんな事を言ってきた。……はて?

 

「……そんな顔してたか?」

「してたしてた。あんな糖分過多になりそうなのを見て、あんな顔を出来るだなんて、お前も変わった奴だな……」

 変わっているだろうか? 未知の物を見聞きし、知ろうとするのは魔道士としては別に珍しい行為ではないと思うのだが……


「――ま、それはそれとして、俺たちは学食へ行くとしようぜ。場所知らないだろ? 案内するぞ」

「お、そいつは助かる」 

 というわけで、青春真っ只中のふたりを眺め続けるのを早々に切り上げ、今度は学生同士の友情を深めるという経験をすべく、雅樹と共に学食へ向かう事にした。

 

 ……のだが、途中で遭遇した女子生徒の、

「あ、緋村君、ウチの担任の先生が、緋村君にちょっと話があるとかで呼んでたよ」

 という言伝てにより、雅樹はそのまま職員室へと向かってしまった。

 

 残念ながら、友情を深める経験はまた今度だな。

 ……まあ、学食はこの廊下をまっすぐ行けば良いらしいので、せっかくだから行ってみるか……

 

 そう思って廊下を歩いていくと、保健室からジャージ姿の舞奈が出てくるのが見えた。

 おや……?

もう1~2話くらい投稿する予定です!

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