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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL1 異世界の大魔道士、高校生になる part1
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プロローグ ~とあるファンタジー世界の戦い~

「なるほどなぁ……。お前の世界にはそんな便利な物があるのか。常々、お前の世界は魔法なんて使えなくても困らない程に高い技術力を有する、そんなとんでもない世界だと思っていたが……それはさすがに魔法を凌駕してるぞ。俺でもそんなのは無理だ」

 俺、大魔道士トーマ・アルクワルドは、勇者コウイチ――コウイチ・ユウキの話を聞き、そんな風に言った。

 

 ……どうでもいいけど、自分で大魔道士って言うのはなんかアレだなぁ……

 だが、これが正式名称なのだからどうしょうもない。

 魔王の軍勢を相手に何度も戦を仕掛けていたら、いつの間にかそんな称号を得てしまっていたのだ。ついでに言えば、その時に伯爵位も受け取っていたりする。


「そうか? トーマならどうにかしちまいそうな気がすっけどな」

「いやいや、流石に無理だって。俺はお前を元の世界に戻す魔法ひとつ生み出せない程度の人間だぞ? 数百人がいっぺんに乗る空飛ぶ船なんて作れないっての」

「どう考えても、世界の飛び越える魔法の方が難易度高い気がすんだが……。つーか、俺はもう元の世界に戻るつもりなんざないし、その辺は気にしなくていいんだよ」

 コウイチは俺に対しそう言うと、遠くで何やらはしゃいでいるコーデリア、サーシャ、エミリエルの3人に対し、順に視線を向けていった。

 簡単に言えばこの3人、コウイチの結婚――予定の――相手である。

 

「俺の世界――いや、正確に言うと俺の生まれた国では、重婚は出来ねぇんだ。だから、もしあの3人を元の世界に連れて行けたとしても結婚出来ねぇ。だったら、俺は俺の世界に戻る必要なんてねぇさ。今は、元の世界よりも今の世界……そして、あの3人の方が大事だからな」

 なんて事を恥ずかしげもなく言うコウイチ。

 なんというか……こういう所も『勇者』って感じだな。うん。

 

「そうか……。ま、結婚以前に女に縁がない俺には関係のない話だな」

 俺はそう言うと一呼吸置いてから、

「――なら、明日の魔王との決戦で死ぬなよ? そして死なせるなよ?」

 と、言葉を続けた。

 

「当たり前だろ。そっちこそ死ぬんじゃねぇぞ? まあ、大魔道士様がそうそう簡単にくたばるとは思えねぇけどさ。なにせ、俺より強いんだしよ」

 コウイチはそう言って不敵な笑みを浮かべてくる。

 

 当然だと返しつつも、俺は心の中で決意する。

 

 ――この4人だけは死なせるわけにはいかない。

 例え、俺のこの身を犠牲にしてでも、な。

 

                    ◆

 

 ……なんていう決意をしたせいなのかはわからないが、俺は本当にその身を犠牲にして、コウイチたち4人の命を護る事になった。

 

 どうしてそうなったかと言うと、魔王を倒して終わりかと思ったら、そんな事なかったからだ。

 ……まさか、破壊神なんて存在がいるとはな……。さすがに想定外だった。

 

 そう、魔王が死の間際に、自らの身を差し出してそいつを召喚したのだ。

 

 もっとも……最初こそ、その巨大な図体と力に苦戦を強いられたものの、魔王に対して効果的な聖剣が、破壊神にも有効だった事、それから各地から続々と援軍が駆けつけてきてくれた事により、徐々にこちら側が優勢になっていき、あと一歩で倒せるという所まできた。

 だが――

 

                    ◆

 

「グアアアアアアアアアッ! コノ我ガ……矮小ナ人間如キニ、敗レル……!? 我ハ……破壊ノ神……ッ! 八十億ノ魂ノ欠片シカナクトモ、破壊ノ化身……ッ! 召喚サレ……ナニモ破壊セズ、敗レルワケニハ……イカヌ……ッ!」

 などという、身勝手この上ない事を言ってくる破壊神。

 

 お前の都合など知った事かって感じだが、八十億の魂の欠片っていうのは、ちょっと気になる所だな。

 

 そんな事を思ったその直後、凄まじい勢いで大気中の魔力が破壊神に集い、そして圧縮されていくのを俺は感じ取った。

 って、ちょっとまて! こいつは……っ!

 

「トーマッ!?」

「ああ……こいつはマズい……。あれが……あの魔力が炸裂した瞬間、この辺り一帯が何も存在しない荒野と化す……っ!」

 ヤバさを直感的に理解したのであろうコウイチの呼びかけに対し、俺はそう答える。


 破壊神が、極限まで魔力を圧縮する事で、凄まじい威力を誇る爆発を引き起こそうとしているのは、俺の知識と照らし合わせても間違いなかった。

 こいつ……負けそうだからと、周囲一帯の命全てを道連れにする気かよ……っ!

 

「なら……その前に倒し切るのみだっ!」

 コウイチが、いかにも勇者らしいそんな言葉を言い放ち、破壊神に突撃する。

 それに続けとばかりに、この場に集った皆が破壊神へと攻撃を仕掛ける。

 

 破壊神は魔力を集めるのに全力を傾けており、反撃ひとつしてこない。

 一方的に攻撃を受け、破壊神のその身体が徐々に崩壊し始めた。

 いや、過剰な魔力を集めすぎたせいもあるのか?

 

 ……まあ何にせよ、魔力が貯まり切るのが先か、倒し切るのが先か、でしかないな。

 

 一旦考えるのを放棄し、ひたすら魔法を放ち、破壊神を攻撃する。

 

 ……が。

「駄目だ……。魔力の圧縮速度の方が早い……。このままでは……」

 俺は誰にも聞こえない程の小声でそう呟く。

 

 人一倍……いや、世界でもっとも魔力や霊的な波動を感じ取る能力に優れている俺には、それが分かってしまった。

 

 ……こうなれば、あれを使うしかない……か。

 

 俺は飛翔魔法で空を飛び、破壊神へと接近。

 空中に足場を作り、そこに新たな魔法陣を描き出す。

 

「トーマ!? 何を!?」

 地上からコウイチの声が聞こえてくる。

 

「これで、こいつを吹っ飛ばすだけだ!」

 俺はそう言葉を返すと、呪文の詠唱を開始する。

 

 それは、コウイチを元の世界へ戻すために生み出した魔法。

 しかし、術式の構成に失敗し、次元の狭間へと繋がるだけの役立たずの魔法。

 だが、今回はそれが功を奏した。

 

 そう……次元の狭間へ吹き飛ばしてしまえばいいのだ。

 

 程なくして魔法が発動。

 次元の狭間へと通じる穴が出現し、破壊神を飲み込み始める。

 

「グ、グオォォオオォォオオォォオオォォッ!?!? ナ、ナンダ、コレハ……ッ!? 飲ミ……込マレ……ル……ダト……ッ!? ガアアァァアアァァアアァァッ!」

 その身が崩壊しつつある破壊神が、勢いよく穴へと吸い込まれていく。

 

 下から、おおっという歓声が上がる。

 よし、後は奴が完全に吸い込まれた瞬間に閉じればいいだけだ。

 

 しかし、

「オ、オノレ……セメテ……貴様ダケデモ……ッ! 不完全体トハイエ、我ヲ制スル存在ハ……排除、セネバ……ッ!」

 という憤怒と憎悪に満ちた声と共に、漆黒の霧状の帯が俺に迫る。

 

「くっ!」

 穴の制御の為に動けない俺は、あっさりとそれに絡みつかれた。

 そして俺の身体は、破壊神と繋がるその帯によって、引っ張られるように穴へと吸い込まれていく。

 

 これを振りほどくのは難しくないが……それをすると穴の制御が乱れる。

 下手をすれば、暴走し、ここにいる全員を飲み込みかねない。

 だから、俺はなすがままに吸い込まれるしかなかった。

 

 ……まあ、俺の命ひとつでここにいる皆を――あの4人の命が助かるなら安いものか。

 俺はそう考え、穴に吸い込まれると同時にそれを閉じる。

 

 と、同時に破壊神によって圧縮された魔力が炸裂。

 次元の狭間が崩壊するのではないかと思うほどの振動が生じ、圧倒的なまでの光の奔流が、破壊神と俺を飲み込んだ――

 

                    ◆

 

 ――そして現在。

 俺は漆黒の空間を漂っていた。

 

 自ら不完全体などと称していたが、奴の力は桁違いだった。

 だから、俺はあの魔力の炸裂で確実に死んだはずなのだが……どうして意識があるのだろうか?

 まさか、次元の狭間であるがゆえに、魂の行き場がないとでもいうのだろうか?

 ……いや、違うな。これは……どこかへ流されている?

 

 そう……漂っているのは間違いないのだが、ゆっくりとどこかへ流れていくのを感じたのだ。

 

 ……そうしてどれだけの時が過ぎたのかわからない。

 1年かもしれないし1000年かもしれない。

 逆にまだ1日も経っていないかもしれない。

 

 時間の感覚が全くもってないせいでさっぱりだ。

 

 ……そんな事をふと考えたその直後、遠くに突如として白い光が現れた。

 そして、その光が徐々に、しかし確実に近づいてくる。

 

 しかも……なにやら流されるスピードが増している……?

 

 そんな事を思っている間にも、光はどんどんと近づいてくる。

 

 ――そして遂に、光が俺を包み込んだ。

 

 破壊神が最後に圧縮した魔力を炸裂させた時に似ているな……

 なんて事を思うのとほぼ同時に、俺の意識が急速に遠のいていった――

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