1.ええいめんどうだ、とにかくやってみろ
「先攻は貰ったぁ!俺のターン!」
勢いよく言うのはウグイス。部内で最も早くブレスピの情報をつかみ、TCG仲間のツクルとヒジリに教えた男。デッキもカードプールを考えてくみ上げられており、発売から3か月経ってようやく開催された地区大会でも上位に食い込んだ。
「ドロー!」
「なんでもいいけど他作品だぞ」
ツクルが答える。一番「主人公っぽい」デッキを使うのが好きなミーハーである(ミーハーって言うな!)ほかにプレイしていたTCGでも、漫画やアニメのあるものでは主人公が使うデッキしか組んでいなかった。
「カードをセットしてターンエンド」
「勢いよくターン開始宣言して動かねぇのかよ。俺の番だな。1コスト支払いムラビトA召喚、バトル!ムラビトAでシールドにアタック!」
ツクルの宣言に、ウグイスが動く。
「トリガー発動、怠惰!自分フィールドにモンスターがいない場合、シールドにアタックしたモンスターはこれ以降攻撃できなくなり、アタックポイントが500ダウン!」
「マジか!いきなり切ってくるのか!ターンエンド…」
「俺のターン!ドロー!シールドをリリースし現れよ!」
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「ぐあー!また負けたァ!」
ツクルは叫ぶ。これまでの戦績は覚えていなくとも、ツクルがウグイスに勝ったことが一度もないことはわかっていた。
「トリガー警戒せず初手で攻撃するから。へったくそにもほどがあんだろ」
「ぐうう」
「ウグイス相手に初手特攻したのか。それも伏せがあるのに…成長しねぇなぁ」
と口をはさむのはヒジリ。TCG部部長で、見ていて楽しいデッキや、「なんだそのコンボ!」を見つけ出す天才。
「じゃああのデッキに勝てんのかよ!」
「いや俺ウグイスとの戦績、大体4割分だし。0%のお前には言われたかねぇな」
ヒジリも相当の実力者で、大会で結果を残している。ショップの大会では地域の強豪を破って、何度か1位にもなっている。
「勇者組むなら戦闘準備くらい持っとけよ」
ウグイスが言うと
「売ってねぇから!値段以前に!」
とツクル。
「パック剥けよ」
この返しに
「小遣いが足りねえ」
盤石な残念さ。
「あの・・・」
と消え入りそうな声が聞こえた。
「おっとそうだった、漫才してる場合じゃないぞ。入部希望者のおいでだ」
「入部希望?」
あんまりカードゲームの熱さが伝わらないので変更しました()