閑話1 レオン・グンドラフの復讐
本日は2話アップいたします
俺はレオン・グンドラフ。フルショア公国の王都で警備兵をしている。
俺の家は元々フルショア公国で男爵位を持っており、俺もフルショア公国のアカデミーに通っていたのだ。
アカデミー在学中の俺は、あまり真面目な生徒ではなかった。
授業をさぼって、悪友たちと飲み歩いたりすることも多かった。
しかし法にふれるような事や、悪事を働いたりするような事は一度もなかった。
ある日クラスメイト女性の一人が殺された。女性の死体には複数の人間に乱暴をされた跡があった。
その犯人として俺は逮捕されたのだった。
犯行があった日、俺はいつもの悪友たちと飲み歩いていた。
俺はそのアリバイを主張したが、悪友たちは俺とは飲み歩いていないと証言した。
俺は警察に逮捕され、刑務所に送られ、5年間も強制労働をさせられた。
当然、アカデミーは退学である。
俺の家は俺の罪により、男爵位を失った。
膨大な賠償金が請求されて、俺の父は首を吊った。
母と妹は残された借金のかたに売春婦に身を落とした。
俺は刑期を終えたあと、当時の悪友たちを探しだし、追い詰め、当時の事を白状させた。
俺のアリバイを証明しなかったのは、ダミアン・ビチックが買収をしていたためであることがわかった。
クラスメイトの女性に乱暴し、死に至らしめたのはダニエル王子とその取り巻き達であることもわかった。
俺は持っていた全ての金を賄賂に使い、王都の警備兵の身分を手に入れた。
この国では賄賂さえ使えば、俺のように犯罪歴のある人間でも簡単に公職につけるのである。
賄賂を使って公職につくような人間は、その身分を利用して、さらに悪いことを行うのが当然だ。
税金を徴収する役人は、当然のごとく、それを懐に入れている。
ダニエル次期大公、ダミアン・ビチック宰相が悪い見本なのである。
それを見習って何が悪い。
みんなで国を食い物にしているのだ。
俺も警備兵の身分を悪用した。王都の食堂で食い物を食った際には、料金を踏み倒した。
それに文句を言った店主は気軽に剣で切り捨てた。
ダミアン宰相の名を出せば、相手は震え上がった。
王都の民は心底ダミアン・ビチックの事が嫌いだった。
ダニエル王子は大公の椅子を正統なアダム王子から奪い取った奴だ。
それもダミアンの保護の元で。
ダニエル王子もダミアンと同様に嫌われていた。
俺はこの二人になんとか復讐をしたかったが、なかなかその機会は訪れなかった。
そんなある日、俺は空から降ってきた紙を拾った。
そこにはダニエル王子とダミアンの悪事が絵で描かれていた。
さらに何度か同じような紙が空を舞い、マリー王女がフルショア公国に戻られて、ダニエル王子とダミアンへの反乱軍を募っているとの情報がもたらされた。
さらにはダニエル王子とダミアンがアダム王子暗殺に送った兵たちが、風の悪魔と呼ばれるリガリア王国の勇者一人に惨殺されたという噂が伝わってきた。
俺はダミアンに恨みを持つ人々に声をかけ、王宮の食糧庫から食料を盗み出した。
またダミアン・ビチック家の私兵たちの集まっている遁所や、警備所に火をつけて回った。
警備兵として仕事をしている時には、意図的に門を開けて、反乱軍を通してやったりもした。
警備兵として雇われている人間の多くは、賄賂を贈って警備兵になっているので、上に対する忠誠心などは誰にもないのだ。
誰もが自分の得になるか、得にならないかしか、興味はなかったのである。
俺はみんなにもうダニエル王子や、ダミアンの時代は終わりだ。
アダム王子とマリー王女、リガリア王国軍につく方が安泰だと言って回った。
ダニエル王子とダミアンとの間に走り回っている伝令を切って捨て、その手紙を奪い取ることでダミアンの居場所を見つけることにも成功した。
ダミアンは私邸の一つに逃げ込んでいるようだった。
その時、ひときわ大きな衝撃音とともに、守り石が砕け散った。
マリー王女の声で、ダニエル王子とダミアンを打倒せよという叫び声が聞こえた。
俺一人でダミアンを葬ることは難しいが、リガリア王国軍が流れ込んできた時には、ダミアンの居場所を売りつけてやろう。
俺は入場してきたリガリア王国騎兵に情報を売りつけ、ダミアンの私邸までの道案内を買って出た。
本当はダミアンの奴が殺されるところを直接見てみたかったが、流石にそこまでは難しかった。
でもリガリア王国の連中は俺たちの気持ちが良く分かっている。
すぐにダミアンの首を晒してくれた。
俺はダミアンの首に唾をはきかけるだけでなく、しょんべんをかけてやった。
俺の真似をして、次々と男たちがしょんべんをかけた。
みんな大喜びだった。
マリー王女様 万歳!
フルショア公国 万歳!
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