第9話 ハンナとエレーヌの結婚-エレーヌ視点
フルショアの守り石を打ち砕くため、飛空挺からハンナとピーターが飛び降りるというエドガーの作戦を聞いた時には、目眩がしてしまいました。
もしもハンナを失ってしまったら、わたくしはどうすれば良いのでしょうか?
ピーターとハンナが密着したベルトで固定された降下服というモノを試着しているのにも、随分と苛立ちを覚えたものでした。
そうして作戦を終えたハンナは、敵の毒を受けたため、ピーターに抱きかかえられて帰ってきました。
「仇はピーターが討ってくれた」
と、嬉しそうなハンナ。
わたくしの心にはピーターへの嫉妬の炎が燃え上がっていました。
そういえばピーターと婚約していた事があったのが夢のようです。
わたくしの心はいつからこれほどハンナ一色に塗りつぶされてしまったのでしょうか。
ハンナに傷を負わせたダミアンの兵など、このわたくしと傭兵団で撲滅してみせますわ。
まだ毒から完全には回復していないハンナに、わたくしの覚悟を見てもらうのです。
アダム新大公はわたくしへの恩賞として、フルショアでの同性結婚の正式な認証を約束してくれました。
つまりわたくしはハンナとこの国で正式に夫婦として結婚する事が出来るのです。
フルショア公国はかつてリガリアにマリーが留学をする際に、マリウスとして男装の魔法によって、姿かたちを変えさせた魔法使いがいる国です。
わたくしに男装の魔法を使ってもらい、わたくしが男性になることができるはずです。
わたくしはハンナに結婚式で、わたくしが男装の魔法を使って、夫役になっても良いかと尋ねてみました。
ハンナは花嫁ドレスが着たいとの事だったので、わたくしが新郎役で新婦のハンナをエスコートすることにしました。
そして新婚初夜。わたくしは男としてハンナを抱きました。
ハンナとはこれまでも何度も肌を重ねてきましたが、ついにハンナと男女として一つになったのです。
ハンナは幼い頃から、父に性的虐待を受けていたので、わたくしはとても心配でした。
ハンナが辛いことを思い出すのではなないか。
もしもハンナが拒否をしたらすぐに辞める用意はできていました。
しかしハンナはちゃんとわたくしの事を受け入れる事ができました。
わたくしも男の体でそういう事ができるとは思っていませんでした。
しかしすでに慣れ親しんだハンナの体に、男の体となって沈みこんでいくのは最高の気分でした。
そうして二人は最高点に到達しました。
その瞬間、わたくしは女の体に戻ってしまったのでした。
どうやら男装の魔術はオーガズムを感じることで解ける魔法だったようです。
という事は、マリーはピーターが飛田先生である事を知っただけで、オーガズムを感じたのかしら?
わたくしは是非とももう一度、男装の魔法をかけて欲しいと魔法使いに頼みこみました。
しかし魔法は身体への負担が大きいため、1年に一度だけしか無理との事でした。
それでは次回はハンナが男になって、わたくしの事を抱きたいと提案してくれました。
こうして翌週にはハンナに男装の魔法をかけてもらいました。
けれどもハンナに対する男装の魔法は拒絶されてしまい、ハンナは女のままで、男に変わりませんでした。
なぜかを調べてみると、ハンナはすでに妊娠をしていたそうです。
妊娠をしていると男装の魔法はかからないそうです。
つまりはわたくしとハンナとの間に子ができたのでした。
この事実はフルショアだけでなく、やがては他国にまで知れ渡る事になりました。
女同士で正式に夫婦になるだけでなく、実際に自分の遺伝子を分け合った真の子供を授かることのできる国。
フルショアは女性同性愛嗜好者のユートピアとして、多くのレズビアンが移民してくる国になっていきました。
そしてわたくしとハンナ。
二人の間に生まれた一人息子のピエールと
3人は共にビチック伯爵家を盛り立て、フルショア公国のために尽くす人生を送る事になるのでありました。
ちなみに男装の魔法に対して、女装の魔法というものは存在しないそうです。
やはり男の体に比べて女性の体は複雑なので、男を女にすることは魔法でも不可能のようです。
たしかに男が女になって、子供を産もうとしても、オーガズムを感じて男に戻ってしまうわけですから、受精後10ヶ月近くも女の体のままで過ごすのは厳しすぎるでしょう。
だから男性同士のカップルを救うのは無理なのでしょうね。
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