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ダブル異世界転生 現代科学で人を幸せにしたい  作者: とと
第4章 フルショア公国後継戦争
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第7話 戦後処理

 ハンナ・ビチックがダミアン・ビチックを倒したと公表し、ダミアンの首を王都の広場に晒した。


 人々はダミアンの首に唾を吐き捨て、子供は石を投げつけた。

 首を見つめて、嬉し涙を流す者が多く見られた。

 相当に色々な人に恨まれていたのだろう。


 ダミアンの死により王都に駐在していたビチック家の私兵達の多くが降伏した。


 他の領主貴族たちはほとんど王都から逃げ出したため、王都は反乱に参加した市民によりほとんどの地域が占拠される状況になった。

 そこへノヴァックから進軍してきたアダム王子とエレーヌ傭兵団が、盛大な歓声のもと迎え入れられた。


 そうして上空の飛空艇で待機をしていたマリーが着陸するタイミングで歓喜の渦はフルショア王都すべてにこだまするかと思われるほどであった。


 ダミアンが死に、後ろ盾を失ったダニエル王子はすぐに市民軍に捕らえられていた。

 そして王都の牢に閉じ込められながらも、悪態をついていた。

 なんとダニエル王子は次期大公宣言をした後に、王都にいた異母弟の王子達をまとめて粛清していたのだ。

 もしも王都にマリーが残っていたら、どうなっていただろうか?


 アダム王子がマリーをリガリア王国に留学させていてくれて本当に良かったと思った。


 ダニエル王子に対する聴聞はアダム王子や、リガリア王国立ち合いのもとで行われた。

 ダニエル王子の醜い命乞いはもう思い出したくもない。

 当然許されるはずはなく、ダミアン同様に斬首となり、晒し首となった。


 ダニエル派や、ダミアン派の一部は潜伏して反乱を企てたが、エレーヌ傭兵団の残党狩りで一掃された。

 こうしてフルショア公国後継者戦争は幕を閉じたのであった。


 ダニエル王子側についた貴族達は、その関わっていた度合いに応じて、大きく所領を没収される事になった。


 ダミアンが当主だったビチック家は半分の所領を没収され、残りの半分をハンナが新しく当主となって、新ビチック領として引き継ぐ事になった。


 没収した領地は一部がノヴァック領に取り込まれたが、それ以外は大きく大公家の直轄地を増やすこととなった。

 これがのちのフルショア王政への移行のきっかけとなった。


 大きな政治的な戦後処理は終わったが、今回の内戦は大きな傷をフルショア国内に刻みつけた。


 その中でも最大の被害者は戦場となった王都と、ダミアンがさんざん食い物にしていたビチック領の領民たちだった。


 ここでアダム王子は英断を下した。

 フルショア公国で同性同士の婚姻を容認したのである。


 つまりはハンナ・ビチックとエレーヌ・ポムドールの結婚が認められたのである。


 エレーヌの持つ財力と、内政の手腕。

 それにポムドール傭兵団に含まれていた人材は、ビチック家や、フルショア公国の復興に大きく役立つ事になった。


 リガリア王国は先先代の名君アベル王の時代に大きく進歩的な制度が取り入れられていた。

 これまで飛空艇の開発や、アカデミーや孤児院の制度などを紹介してきたが、それ以外にも王都の上下水道などもフルショアでは全く整備されていないものだった。

 政治・経済の面でフルショアはリガリアに100年以上遅れているような感じだった。


 エレーヌとその部下たちをフルショアに迎え入れることで、一気にフルショアは近代的な様々な知恵を手にすることができたのだ。


 アダム王子はこれまで気弱なイメージが強く、内戦では目立った活躍がなかったが、内政の切り回しにおいて、その人材活用面で大いなる才能を発揮し始めた。


 俺とマリーの結婚も、フルショア公国で正式に認められた。


 実は俺たちはリガリア王国での結婚宣言から、一気に戦争準備、飛空挺での移動、内戦と休む暇もなかったために、まだほんとうの意味で夫婦ではなかった。


「先生、私の父と母に会いに行きましょう」


「皇后陛下も大公陛下の後を追うように亡くなられていたんだってな」


 マリーは両親を共に失ってしまっていた。

 マリーとともに大公家のお墓に行った。


「お父様、お母様、マリーをリガリア王国に送ってくださり、ありがとうございました。


 マリーはリガリアで生涯を共にする人と出会う事ができました。


 お父様とお母様がそうした様に、この人と一生愛し合って暮らしていきます。


 お父様とお母様にいただいたご恩は、次の世代に必ず返していきます。


 ありがとうございました」


 マリーはもう泣かなかった。しっかりと前を向いていた。


 俺も

「決してこの先、マリーを泣かしたり、悲しませたりすることなく、幸せにするよう努力いたしますので、どうか私たちを見守り下さい」

 とマリーの父母の墓の前で誓った。


 その夜、俺とマリーは初めて結ばれた。

 マリーは初めての痛みを我慢して、俺に強くしがみついてきた。

 俺はこれからの人生の全ての愛を彼女に注ぎ込む事を彼女に誓った。

 マリーにとって、俺は白井真理亞時代からの憧れの対象だったのだ。

 俺と結ばれることができて、これほど幸せな人生はないと言ってくれた。


 俺はマリーにナンシーとの間に子供がいることを告げていた。

 俺はマリーに嘘をつくことはできなかったのだ。

 しかしこれ以降マリー以外の女性を抱くことはないと宣言をした。


 マリーはエリーゼがリガリアでピーターの帰りを待っているから、それは無理ですよって笑っていた。

 それでも俺の宣言を嬉しそうに聞いていた。


 俺にはマリーがいれば、他に女性など必要ないのだよ。きっと。いややっぱりエリーゼは手強そうだ。

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