第4話 作戦会議
初戦で300人を惨殺されたダニエル陣営は守りを固め、情報収集を行うだけになった。
俺を先行配置させたエドガーの策によって、兵の移動時間を確保した俺たちリガリアは、エレーヌ傭兵隊のリガリア王国からの陸上移動も完遂し、全兵力をプハラに進めていた。
プハラの戦力は5000人弱になっていた。
これに対し、フルショア公国軍は1万から2万程度と、まだまだ数倍の差がある状況であった。
この状況下で作戦会議が開かれた。
俺は現代科学を人の幸せのためにだけ使いたい。
戦争のために戦闘機や爆弾などを作って、罪のない人々を死に追いやる事はしたくなかった。
ただ全ての人を平等に愛するなんて事は出来ない事は解っている。
だからダニエル王子とダミアンは間違いなく倒さなければならない。
俺の持つ魔法の力はこの戦争でどんどん使っても良い。
それはこの世界で俺が独力で得た力だからだ。
だから俺はどんな危険な任務でもやってやる。
しかし可能な限り、戦う意思のない、フルショア公国の民は殺したくないと会議でみんなに頼んだ。
マリーも、アダム王子も同意見だった。
作戦指示を担当するエドガーはフルショア市民の蜂起を扇動する作戦を考案した。
まずはダニエル王子とダミアンが私利私欲のために住民に重税をかけ、その金を自分たちの贅沢に使っている状況を絵にして紙に印刷した。
文字が読めない者でも、絵である程度の意味がわかるように漫画を採用したのだ。
それを飛空挺により、フルショア王都の上空からばら撒いた。
さらにはダニエル王子の圧政に対して蜂起をはかるアジテートのビラを作った。聖女マリーのフルショア帰国を宣伝し、マリーの名で立ち上がるように鼓舞したビラを、飛空艇からまき散らした。
数回のビラまきによって、フルショアの住民たちはダニエル王子への恨みを掻き立て、聖女として慕われているマリー王女の帰還を期待した。
フルショア王都では、市民と兵士との小規模の小競り合いが続く状況になっていった。
フルショア王都での混乱が増した頃合いを見計らって、王都攻略戦がスタートする。
しかしこちらは5000人、あちらは2万である。
攻城戦では通常守る方が圧倒的に有利だ。
通常、守る兵力の数倍の兵力で攻めても、城を落とすのは難しいとされているのだ。
その上、フルショアには守り石という絶対的に有利な壁が存在する。
特に俺たちリガリアは移動能力の高い騎兵が多いが、城攻めのための戦力はほとんどない状態だ。
現状市民の反乱は起きているが、まだまだ小規模なもので、とてもじゃないが、すぐに攻め落とすというのは無理な状況だ。
季節はこれから夏本番を迎えようとしていて、ライ麦の収穫が終わってしまったばかりの時期だ。
内乱で略奪行為などできるはずがないから、俺たちは進軍しながら兵糧を運ばなければならない。
敵がフルショア城内に立てこもってしまえば、兵糧補給を維持するのは至難の業となってしまう。
フルショア公国の9割の貴族があちら側についている以上、例えフルショア王都を取り囲んだとしても、各地で個別に反撃を受けることになってしまうからだ。
さてどうするんだエドガー?
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