閑話1 エレーヌとハンナ-ハンナ視点
本話には非倫理的な内容、レディースラブな内容が含まれています。
そういうのがお嫌いな方はスキップ下さいませ
私は父を殺しました。
私の母は身分の低い女でした。父は貴族であり、母は父の所有物として扱われていました。
そして私も幼い頃から、父に性的虐待を受け続けていました。
父は幼い私がよくわかっていないのを良い事に、破廉恥極まり無いことを要求しました。
私の兄達も私を妹として扱うのではなく、モノ扱いをしていました。
私は彼らのようにいやらしい欲望に満ちた男どもを許すことができません。
私は身体を鍛え、長いあいだ彼らに対して復讐をする機会をうかがっていたのです。
15歳となった私は強力な毒を持つ蛇を捕まえておき、彼らの油断をついて、その蛇に父と弟を噛ませる事に成功したのです。
しかし他人を呪わば穴二つでしょうか、その時母もまた蛇の毒を受けてしまいました。
さらに母を救おうとした私も右足に蛇の毒を受けてしまいました。
そんな私と母の命を救ってくださったのがマリー様でした。
我が家での異変を聞いて、マリー様は駆けつけてくださったそうです。
その時点でまだ息があった私の毒の治療をしてくださったマリー様。
私が母の名をうわごとのように言っていたのを聞いて、迷わず母に蘇生の魔法を使ってくださったそうです。
マリー様の蘇生の魔法は死んでから1時間が限度だそうです。
母はマリー様の魔法でなんとか息を吹き返しましたが、マリー様はそのまま倒れてしまわれたそうです。
私が意識を取り戻した時、マリー様はまだ昏睡状態でした。
私はその日からマリー様のためだけに生きる事を誓ったのでした。
フルショア公国の内乱の危機を避け、マリー様とリガリア王国に逃げました。
マリー様をお守りするのは私以外には居ません。
任務に心が熱く燃えます。
ところがマリー様はピーターという男に夢中になってしまいました。
ピーターをぶちのめしたいとずっと思っていましたが、ピーターはマリー様の前世での恩人でした。
ピーターも所詮はずさんでスケべな男だと侮っていたのですが、最近になって、きちんと見る目を持った、存外に良い人間であることがわかってしまいました。
私がマリー様を守らなくても、ピーターがマリー様を守ってくれる。
そう認識してしまうと、自分という人間が要らない人間になってしまった気がしました。
ああ、今日もつまらない罠をエレーヌが張っている。
マリー様には全く相手をされるはずがないのに、しつこい女だ。
えっ、マリー様はもう良いんだって。エレーヌが欲しいのは私?
私を必要としてくれる人間がまだいたのか?
良いだろう、エレーヌ。存分に遊んでやろう。
えっ、エレーヌも私と同じで男が全くダメな体だったんですね。
私の様な穢れた女でも必要としてくれるのですか?
本当に?
ピーターと婚約していたのはあくまで体面のためで、実はダンスを一緒に踊った事があるだけ。
ピーターと男女の関係になったことは一度もなかったって。
それを信じても良いんですね。
私はクーリエーヌに酔ってしまったのかも知れません。
クーリエーヌは甘く軽やかに心の痛みを麻痺させていきます。
ピーターの作った温泉で、エレーヌと二人で入っていると、体だけじゃなく、心まで温まっていきました。
そうして私がエレーヌとの身体の関係を受け入れてしまうなんて。
エレーヌって可愛い。え、ハンナの方がって。
私が他人から可愛いなんて言葉を貰ったのは、生まれて初めてだわ。
もうエレーヌ無しでは生きていけないかもしれない。
エレーヌもだって。
もしかして幸せっていうのはこういう事なのでしょうか?
マリー様、どうか教えて下さい。
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