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ダブル異世界転生 現代科学で人を幸せにしたい  作者: とと
第3章 二人の転生者
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第26話 無線機開発プロジェクト

 無線機の開発は失敗つづきだった。


 まず製作しようとしたHF(短波)帯の周波数は波長の長さが数十メートルにもなるので、波長の1/4の長さが必要となる巨大なアンテナの製作は大変だった。


 さんざん試作品の作成で失敗してから、やっとこさできあがった試作品を飛空艇に取り付けてみて、遠距離の通信実験をした。

 近距離ではきちんと通信ができたのだが、飛空艇の距離がある程度以上離れると全く通信ができなかった。


 地球では電離層の反射により、直線見通し外でも通信が可能なHF(短波)帯の周波数を使用したのだったが、この世界には電離層がないのだろうか?


 目先を変えて、アンテナが小さくて済むVHF(超短波)帯の無線機も作ってみた。するとなぜかこちらで長距離通信が可能だったのだ。


 もしかすると地球でいうところの電離層と、こちらの世界の電離層では、反射をする周波数帯が違っているのかもしれない。


 ただVHF(超短波)帯は波長の長さが1から10メートル程度なので、1/4波長が必要なアンテナの大きさも小さくなる。おかげでアンテナを飛空艇に積み込みやすくなったのは助かった。


 最初に巨大なアンテナを作ろうとしたのが間違いだった気がする。


 通信用のアンテナとしては八木・宇田アンテナを採用した。

 現代ではよくテレビのアンテナ用として屋根に乗っているアンテナだが、実は日本人が発明した優れものなのだ。


 この八木・宇田アンテナは指向性があるアンテナなので、アンテナのローテーター(回転装置)と組み合わせると、簡易のレーダーにもなるものだ。


 VHF(超短波)帯というのは、今の地デジになる前のテレビが使っていた周波数だ。

 ちなみに今の地デジが使っているのはUHF(極短波)帯と言って、VHF(超短波)帯よりもさらに短い波長の周波数だ。


 こうしてできた無線機を飛空艇に積み、王都と飛空艇間、飛空艇1号機と2号機間などで、色々と場所と距離を変えながら、通信実験を繰り返し、小さな改良を繰り返しながら、なんとか使えそうなレベルまで開発をすすめることができた。


 通信の傍受を防ぐ暗号化に関してはとりあえず先送りにした。そもそも無線機がなかった世界なんだから、いきなり盗聴とかを趣味にするような奴は、しばらくはでてこないだろう。


 開発には王家や、飛空艇のパイロット達が大きな協力をしてくれた。

 アンテナや、通信機自体の開発には職人街の職人たちの大きな協力が力になった。


 こういう大型の開発プロジェクトが成功するには個人の力だけではなく、多くの協力者の力が必要であることを学ぶことができた。


 最初はマリーには秘密にして、プレゼントをして驚かせようと、一人でこっそりやっていたのだった。

 さらにはエリーゼがあの手この手でアプローチをしてくるために、そもそも開発そのものに多くの時間を費やせなかった。


 結果として失敗の連続で、ちっとも思い通りに進まなかった。


 しかたがなくマリーに正直に話をしたうえで協力を頼みこんだ。

 そうしてベクトル教授や、実験室のメンバーたちが次々と手助けしてくれた。


 俺をめぐってマリーとは敵対的ポジションにいるエリーゼまで最後には協力してくれて、王家の協力までもらってくれた。


 みんなが離れて暮らしているマリーと家族の間で、話をさせてあげたいと、心から望んでくれたから、無線機開発が成功したと俺は思う。


 そうやって出来上がった無線機の1つをフルショア公国のアダム王太子の元に届けるため、飛空艇1号機がリガリア王都を飛び立った日。


 ついにフルショア公国後継戦争の火ぶたが切って落とされることになるのであった。

読んでいただきありがとうございました。


これからは毎日7時に更新をしていくつもりです。


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