第24話 奪還-エリーゼ視点
私はエリーゼ・ブルボン・リガリアです。
リガリア王国の第3王女であり、もう少しで成人となる14歳です。
本来は夏になってからアカデミーに入学する予定でしたが、半年予定を早めて冬期から入学することになりました。
リガリア王族の友人であり、リガリアの宝とも言われているピーター・クーリエがフルショア公国の王女に奪われようとしています。
私はそれを阻止して、ピーターをリガリア王国に引き留めるために、父王より使命をおびて入学を早めることになったのです。
でも父に言われたからというだけではございません。
先日兄と一緒に行ったクーリエ領でのバカンスで、私はピーターと一緒に温泉に入りました。
ピーターが作ったスクール水着というものを着用しての事でしたが、男性と一緒にお風呂に入るなんて初めての事でしたわ。
初めこそはいつもの強気でピーターを下僕扱いしていたのですが、スタイルの良いマリーや、ハンナ、エレーヌと見比べられるのは屈辱ですわ。
そもそも温泉などというものに入ったことも初めてだったので、私は恥ずかしくってお湯から上がれなくなってしまいました。
私だってフランソワお母様の娘です。あと少し経てば、決して負けたりしないのですもの。
そのうち周りの景色がぐらんぐらんと周りはじめ、目が回ってきてしまいました。
そんな私をピーターが抱き上げて、介抱してくれていました。私の頭をスライムのハイジの上に乗せて、体を冷やすために氷を作ってくださいましたわ。
私の水着はちょっとサイズがあっていなくって、水着の隙間から胸が覗いていたみたいです。
それをピーターがしっかり見ていましたわ。
もうこれは絶対に責任をとってもらうしかありませんもの。
そもそもピーターは本来私と婚約するはずだったのですもの。
今日はアカデミーの入学式です。
在校生代表としてピーターが挨拶をした後に、私が新入生代表の挨拶をしましたわ。
私は中途半端なことは好みません。
だから入学式の挨拶で私はしっかり宣言をしましたわ。
私はピーターを将来の婿として王家に迎えますと。
アカデミーの寮では在校生代表と新入生代表が同室となる規則です。
そして私は王家の正式な声明としてピーターと将来結婚すると宣言したのです。
つまりは婚約者ですわ。
なので、私とピーターは同部屋となることが決定いたしました。
いやアカデミー上層部はそれを了承せざるをえないよう王家から圧力をかけたのですわ。
ピーターもさすがにびっくりしていたみたいですが、フランソワお母様より私の教育係を頼むと直接的にお願いをされたので、同室についてもしぶしぶ同意したみたいです。
「ピーター、これからよろしくお願いいたしますわ」
「エリーゼ、本気で俺なんかと結婚するつもりなんですか?」
「はい、ピーター、ブルボン家の人間が一度口にしてことを実行しないのは許されないのです」
ピーターは本気で困った顔をしています。
でも難しければ難しいほど私は燃えるタイプなのですわ。
どんな困難にも打ち勝って、ピーターをこの手に勝ち取って見せますわ。
「ピーター、新入生の課題である水汲みとお茶を入れさせてくださいませ」
私はお兄様より借り受けたエルザに手伝ってもらい、水汲み場からお水を汲んできてもらい、ピーターにお茶を作って差し上げましたわ。
実はこのお茶の中にこっそりと恋の媚薬を入れてありました。
恋の媚薬を飲んだ男の人は、最初に見た異性に恋をすると言われています。
これでピーターの心を鷲掴みですわ。
しかしこの作戦はマリーにしっかり見抜かれてしまいました。
うーん彼女って汚いです。成分分析の魔法ですって。なんてえぐい魔法を使うのでしょう。
さらには一口媚薬を飲んだピーターの身体も光魔法で毒の中和分解までされてしまいましたわ。
せっかくピーターの目に一瞬だけ灯った恋の炎があっさり消し飛ばされてしまいました。
マリー、恐ろしい娘。
全くもって私のライバルとしてふさわしいですわ。
私は決して負けませんわ。
次はどんな手を使ってでもピーターを手に入れてみせますわよ。
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