第21話 マイナスイオンドライヤー-マリー視点
前に実験室で私はベクトル教授にシャンプーとリンスを単位として認めていただきました。
ピーターがそのレシピを工房に売ったのがきっかけになって、色々な工房がシャンプーとリンスを発売するようになって、リガリア貴族の間ではどのシャンプーを使っているのかとか、どこのリンスが素敵とかって話題が多く交換されるようになっています。
私の元にはピーターの契約のおかげでたくさんの新製品のサンプルが届けられるようになっていて、けっこう色々な方にシャンプーのサンプルや、使ってみての感想などを教えて差し上げたりしています。
ただそのせいか寮のシャワールームをみんなが毎日のように使うようになってしまったために、最近は女子のシャワールームは混雑が激しいのです。
特に貴族の女性はロングヘア―が常識です。だからシャンプーの後に髪を乾かすのが大変なのです。
そこで私はドライヤーを作ってほしいとピーターにお願いしてみました。
ドライヤー自体はそんなに難しいものではありません。小型のモーターと小さなプロペラで風を起こす装置を作ってもらい、その手前に電気で熱を発生させるニクロム線を巻いておいて、温度調整ができるようにしてもらいました。
でもドライヤーをかけ過ぎると、髪が傷むといわれています。
髪に含まれる水分が飛び、乾燥してしまうからです。
乾燥すると、髪を包むうろこ状のタンパク質キューティクルがめくれ、髪は大きなダメージを受けてしまいます。
さらに、その乾燥した髪をブラッシングすると、髪はプラスに帯電してパサついてしまうのです。
せっかくドライヤーを作るのですから、最近はやりの髪に潤いを与えてくれるマイナスイオンドライヤーをなんとしても作ってほしいのです。
プラスに帯電した髪にマイナスのイオンを吹きかければ、電気は中和され、髪のパサつきはおさまるはずです。
ピーターは吹きかけるイオンに水分子をまとわせられるようにして、その水分子を乾燥した髪に吸着させることで、髪はサラサラ、しっとりと美しく輝くようにしてくれました。
ピーターはこの仕組みをスライムがいつも水を体の中にキープしている仕組みから、ドライヤーに活用してみたと言っていました。
この発明品は女子にとっては画期的なものだったのですが、ピーターにとってはあまり興味がなかったようです。
でも私の髪がこれまでよりももっときれいになったって、すごーく恥ずかしそうにしながら褒めてくれました。
出来上がったマイナスイオンドライヤーの製造法はいつものようにピーターが工房に売ってしまいました。
マイナスイオン発生装置については簡単にできるものじゃなかったので、売られたのは普通のドライヤーの部分だけでしたが、それでも貴族女性にとってドライヤーは画期的な発明品で、銀貨10枚という値段にも関わらず、飛ぶように売れる商品になったそうです。
銀貨10枚は前世では10万円くらいのイメージです。ドライヤーが初めて売られたころは普通の人の月給くらいの金額だったって話なので、もしかすると妥当なお値段なのかも知れませんね。
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