第17話 太陽電池
マリーと共に鉱石の成分を調べている最中に、ケイ素の成分が多く含まれている岩石が数多く見つかった。
このケイ素から生成する結晶がシリコンである。
シリコンバレーを知っているかな?
アメリカのサンフランシスコの近くにある。
あれはシリコンが採掘できる谷っていう意味じゃなく、マイクロコンピューターや、メモリーなど、シリコンを使ってできる製品を生み出す会社が集まっている地域という意味だ。
シリコン自体は導体でも非導体でもなく、その中間の半導体と呼ばれるものなのだ。
シリコンは産業のコメとも呼ばれるほど、様々な製品に加工できるのだ。
このシリコンの結晶に、ほんのわずかの不純物を加えて結晶化させる。
電子が不足している3価のホウ素、アルミニウムなどを加えたものがp型半導体。
正孔が多いキャリアとなる
これに対して、5価のリン、ヒ素などを不純物として加えてものがn型半導体。
負の電荷を持つ電子がキャリアとなってくれる。
そしてp型とn型の接合面を持つ半導体に光をあてると、電流が流れるのだ。
つまりは太陽光発電なのだ。
実際にはp-nの接合環境と、光の波長の長さによって、光から変換される電流の効率が大幅にかわる。
本当はシリコン以上に変換効率の良い素材もあるのだが、毒性が強かったり、入手困難だったりするので、とりあえずはシリコンをベースにして、不純物の素材や、割合。接合面の大きさや、厚さを変化させて、色々と実験を試みた。
通常ケイ素素材から純粋シリコン結晶を生成するのにも、アルミニウムと同じように大量の電力を要するのだが、マリーの分離魔法のおかげで簡単に作ることができる。
マリーの成分分析と、ハイジの融解と、俺の圧縮、膨張を組み合わせることで、不純物をわずかに含ませてうまく結晶化することができる。
これを利用して、複数の太陽光の波長に対応できるよう、数段の対応波長の違う接合面を用意し、なんとか変換効率10%程度の太陽光発電を行えるようにしてみた。
太陽光発電では直流の電気を作ることができる。
ただこれではモーターを回すことができないので、直流を交流に変換しなければならない。
このためにインバーターという回路が必要なのだが、インバーターもp-n接合を使用した半導体であるダイオードとコンデンサがあればけっこう簡単に作れるのだ。
これまでの発明品では、まだまだ雷の魔法エネルギーを使う必要があったが、太陽電池の開発を機に、一気に完全に魔法無しでの活用が容易になってきたといえよう。
太陽電池は現代でもクリーンエネルギーとして重要視されているエネルギーだ。
太陽光は無限に我々を照らしてくれるものだからね。
不要な二酸化炭素の発生や、熱の発生がないところが素晴らしい。
それに小規模なものを、あちこちに設置することができる。
必要なところに必要なだけ設置できるのが最高なのだ。
実は電気というものは輸送するのも、貯めておくのも、けっこう効率が悪いのである。
電力会社は送電のために非常に高電圧を発生させることで、電流をなるべく小さくして、送電ロスを減らす工夫をしている。
しかし高電圧に耐えるための設備にはお金がかかるのである。
それと使う電力と、発電する電力は必ず常に同じでなければならない。
もしもわずかでも発電する電力が使う電力に対して不足してしまえば、一気に全てが停電することになるのである。
このため電力会社はいつでも使う電力と同じになるように過剰に発電しておいて、余った電力を捨てるようにしているのである。
夜の電力料金をあえて安くして、昼間の電気の使用を控えてもらうことで、昼間のピーク電力を下げる工夫をしているのも、電気を大量に保存したりできないためなのだ。
だから使う分を使うすぐそばで発電できるのが太陽光発電の一番良いところなのだ。
そもそも電気のなかったこの世界では、停電でクレームをつけてくるお客さんはいないのだろうからね。
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