第15話 アルミニウム
マリーの分離魔法は信じられないほどのチート魔術であった。
鉱石などをハイジの中に入れて、分析をイメージするとどのような素材がどの程度含まれているのかがわかるのだ。
含まれている素材の化学式が頭の中に思い浮かぶのだそうだ。
ただマリー本人はその化学式をちゃんと読めない。
前世では元素記号の1番から20番までさえも、ちゃんとは覚えていなかったからだ。
水兵、リーベ、僕の船、七曲りシップス、クラークか?
ってやつだ。みんなはちゃんと言えるかな?
俺は真里亞の化学教師として、とても腹立たしかったり、情けなかったりした。
しかし覚えていないものは仕方がない。
とりあえずマリーに頭に浮かんだ記号を紙に書いてもらい、俺がその意味や、素材の特徴をマリーに教えていく事にした。
一応俺は化学の教師だったので、全ての原子記号を読める。
一部、特性が怪しいものはあるが、ここでは気にしない。
そういう訳で、王家に頼んで、各地の様々な鉱石を集めてもらい、マリーと俺とハイジで分析に明け暮れる日々を送った。
すると俺たちはついに素晴らしい素材を発見した。軽量で、腐食しにくく、強度もある金属。そうアルミニウムだ。
アルミニウムが含まれている赤褐色の鉱石はボーキサイトだ。
このボーキサイトを水酸化ナトリウムで溶かして、アルミニウム成分を分離するとアルミナになる。
このアルミナを電気分解して取り出したのがアルミニウムだ。
通常アルミニウムを取り出すためには大量の電力が必要なのだが、これをマリーはいとも簡単に分離してくれる。
俺は分離されたアルミニウムを圧縮して、必要な部品の形にしてハイジから直接取り出す事ができるのだ。
アルミニウムは熱伝導性が鉄の3倍もある。つまりは熱くなってもすぐに冷えるのだ。この特性を使ってエンジンなどに使用される。
表面に酸化被膜を作ってアルマイト加工をすると腐食性能が高くなる。
一円玉にアルミニウムが使われているのは、これが理由でもある。
さらにアルミニウムは電気電導性も高い素材で、銅線の倍の電気を流す上に、非磁性体で磁場の影響を受けにくい性質だ。
このため電気回路などで非常に利用範囲が大きいものなのだ。
アルミニウムに4%ほどの銅を加えてアルミニウム合金にしたものがジュラルミンである。
ジュラルミンは機動隊の盾に使われているように、軽量なのに、十分な強度がある素材なのだ。
俺はこの素材を飛空挺の主力部品にしたいと考えていたのだった。
参考元素記号
H(水素)-He
Li-Be-B(ホウ素)-C(炭素)-N(窒素)-O(酸素)-F(フッ素)-Ne
Na-Mg-Al-Si(ケイ素)-P-S(硫黄)-Cl(塩素)-Ar
K-Ca
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