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ダブル異世界転生 現代科学で人を幸せにしたい  作者: とと
第1章 クーリエ領の怪力次男坊
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第5話 いよいよ魔法の時間だぜ

 トーマスが10歳になった。今日はトーマスの星見の儀が行われる。


 星見の儀は魔法属性を測定する水晶に手をかざし、魔力を流す事で、その者の魔法属性や、魔力量を計測する儀式の事だ。


 どうして10歳まで計測しないのかって?


 この世界の子供は7歳まで生きられない事が多い。だから7歳以下は人間として扱われないし、一般的に外の世界に出たり、教育を施されるのは10歳からなのだ。


 魔力は子供の成長とともに少しずつ増えて行くので、あまり早くに測定してもわからないらしい。また測定に使用する水晶が非常に高価な物なので簡単に測定できないのである。


 我が家は子爵家だが、当然星見の水晶などという高価なシロモノを持ってはいない。トーマスの星見の儀のために、ゴードンが我が家の後見をしてくれている寄親の伯爵家から借りたものだ。


 星見の儀ではトーマスが水晶を両手で挟んで、両手で作った腕の輪の中を魔力がぐるぐると回っているの事をイメージするのだ。そうすると魔力が水晶の中に流れ込むらしい。


 トーマスが息を止め、顔を真っ赤にして力を込めた。すると水晶の中に赤い炎のようなものが揺らめいた。


「おめでとうございます。ご子息は火の神ペレのご加護を受けている様です」星見の儀を行うために同席した神父様が厳かに低い良い声で宣言をした。


「おー、トーマス。お前には俺と同じ火の魔法属性があるようだ。流石は我が息子。誇りに思うぞ」ゴードンがトーマスを祝福する。


「ありがとうございます。父上」トーマスは誇らしい笑顔だ。


 さあトーマスの星見の儀が終わった。俺は喜び合う父子と神父様の目を盗み、星見の水晶にそっと近づいた。


 こうやるんだっけ?


 トーマスがさっきやってみせたみたいに水晶を手に持ち、そっと力を込めてみた。


 何の反応もない。

 うーん。ダメか?


 あ、神父様が俺の存在に気がついた。


「坊やはまだ5歳くらいだろう。ちょっとまだ星見の儀は早いよ」


「そうだぞピーター、小さなうちは魔力を十分に引き出すのは難しいんだ。あと4年したら、お前のための星見の儀をしてやるからな。もうちょっと我慢しなさい」とゴードンも諭す。


 悔しいと思った俺はもう一度、今度は全力で水晶を握りしめた。


 パリーン


 音を立てて水晶が砕け散った。


「あれっ」

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