第10話 嫉妬の炎
本日はお盆休暇でお休みの方が多いので、ゲリラ的に複数話投稿しまーす
今日はアカデミー内の親睦ダンスパーティーが開催された。
これまでは身長的に女性をエスコートするのが厳しかった事もあり、この手の会にはサボりを決め込んでいたのだが、今回は在校生代表として新入生をエスコートしなければいけないという事で、出席することになった。
ただ俺も15歳となり、成人をする年齢となった事で、概ね標準的な男性のサイズになっていた。
これまでエレーヌにみっちりとダンスや礼儀作法は鍛えてもらっていたから、女性のエスコートは全く問題ない。
初めは嫌々の参加だったが、参加してみるとまんざらでもないと思い始めた。
特に俺とダンスしたいという令嬢がたくさんいたのである。
俺ってそこそこ人気があったんだ。
おかげでちょっと鼻の下を伸ばしすぎていたのかもしれない。
パーティーが終わって、寮の部屋に戻ると、ものすごく不機嫌そうなマリウスがいた。
「ピーターはずいぶんとおもてになるんですね?」
「え、マリウスもダンスのお相手が列をなしていたじゃないか?」
「私の話は良いのです。ピーターはエレーヌという決まった婚約者がいるのですから、あの様に誰とでもホイホイ踊るというのはどうなんでしょう?」
「いやー、エレーヌは俺が他の女性に目を奪われても、ヤキモチとかは焼かないよ」
「あら、随分と余裕があるんですわね。エレーヌさんはきっと心の中で泣いていますわよ」
嫌に突っかかるマリウスの態度に、俺はだんだんムカつき始めていた。
「俺とエレーヌとの関係はちょっと特殊なんだよ。そもそもマリウスの知った事じゃないだろ」
「そうですね。ええそうですとも。私の知った事じゃないです」
そう言いながら、マリウスの目から涙が流れ出した。
「あのー、おかしな事を聞くけど、もしかしてマリウスって、俺の事が好きだったりする?」
「-----」
返事がない。マジかよ。
「マリウスごめん。さすがにエレーヌとは違って同性相手にはちょっと恋愛できないよ」
「え、エレーヌとは違って」
「あ、失言。ごめん、マリウス。忘れて」
「ハンナが言っていましたが、エレーヌは女性同性愛者だって。それって本当だったんですね?」
「あ、そうか。ハンナからもう聞いていたんだ?
そうだよ、エレーヌは実は男性恐怖症なんだよ」
「私、今日はエレーヌさんとダンスをしましたけれど、エレーヌさんはとてもエレガントに踊られていましたよ」
「あれ、エレーヌって俺以外の男とは踊れなかったんだけどなあ」
「やっぱりエレーヌさんとピーターは愛しあっているのですね?」
「いや、俺がこれまでは成人男性じゃなかったからだろう。
ただこれまでは大丈夫だっただけで、今日はそういえばエレーヌが俺を避けていて、一緒には踊らなかったなあ」
「それじゃあピーターとエレーヌの婚約って、もしかしてホンモノじゃあ無いんですか?」
「うん、そうだよ。
エレーヌと婚約した当時は、俺はまだ子供だったからね。
それでエレーヌは俺相手にはジンマシンが出なかったんだ。
エレーヌは当時婚約を色々なところから持ち込まれて困っていたんで、俺はそれを助けるために婚約したんだ」
「それじゃあ本当は仮面婚約者って事ですか?」
「うん、もしも俺に本当に好きな女性ができた時には、エレーヌは俺を解放するって契約になっている」
「それじゃあ最後の質問です
ピーターは飛田先生ですか?」
「え、マリウス、なんでそれを知っているの?」
「やっぱりそうだったんですね」
マリウスの身体からうっすらと煙のようなものが立ち込めてきて、徐々にシルエットが丸みを帯びていった。
「え、え、えーーーーー」
完全に女性の姿に変わったマリウスは
「私は白井真里亞です。飛田先生、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
とつぶやいて、俺の胸に倒れこんできた。
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