第7話 ヘルファイヤー討伐
パーティーのグループ戦術として、前衛を剣士のジョルジュとハンナが担当し、戦闘中は護衛対象となるマリウスと臨機応変に対応できる俺が中衛。
火魔法の大火力中心のトーマスと、氷魔法で全体長距離攻撃が出せるニコラが後衛を担当することにした。
誰かが負傷した時には、マリウスの治癒回復魔法が瞬時に飛んでくるので、安心して戦える。
何度か階層を変えつつ、連携を確かめていった。
モンスターが単独ならば、ジョルジュとハンナだけで仕留めてしまう。
物理攻撃が効きにくい相手はトーマスが火魔法で倒す。
複数のモンスターが出てきたら、ジョルジュが壁になり、トーマスの火魔法と、ハンナの闇魔法暗殺剣で削って行く。
たまに撃ち漏らしたりした時だけは俺が対処した。
かなり良い感じになったので、いよいよ20階層のヘルファイヤーに挑戦してみる事にした。
このヘルファイヤーってモンスターはなかなか厄介なモンスターなんだ。
まず実体はガスなので、剣による攻撃が効かない。
ガスは高温の火を纏っているので、当然火魔法は効かない。
ニコラの氷魔法は有効なんだが、いかんせん、ニコラの魔力量がヘルファイヤーに比べて低すぎる。
俺が空気に対して圧縮、膨張魔法を使い、ヘルファイヤーへの酸素供給を断つ事で、ヘルファイヤーの火力を徐々に削っていき、なんとか弱らせる事はできるのだが、奴には最後の切り札がある。
圧縮爆発という自爆技で、こちらを道連れにしてくるのだ。
このためこれまでの俺たち4人のパーティーでは、いつも最後で必ず撤退せざるを得なかったのだ。
新パーティーでは期待の新戦力であるハンナの闇魔法が全くヘルファイヤーには効果がなかった。
しかしここで思わぬ力が登場した。これまでは保護対象だと思われていたマリウスが、俺がある程度弱らせて、小さくなっていたヘルファイヤーに対して、無属性魔法の分離魔法で、火とガス成分とに分離をしてくれたのであった。
ヘルファイヤーは燃えている火が、本体のガスと分離してしまった状態では、切り札の自爆技を使うことができなくなったのだ。
さらにマリウスはヘルファイヤーのガスが水素とヘリウムでできている事を教えてくれた。
俺は早速マリウスが分離してくれたヘリウムだけを圧縮し、ハイジに吸収して回収してもらった。
俺がこれまで欲して止まなかったヘリウムガス。マリウスのおかげで安定供給に道を開く事ができた。
俺はつい嬉しくって、マリウスを思いっきりハグしてしまった。
胴上げをしたいくらいの勢いだった。
「キャー」
マリウスは女の子みたいな悲鳴をあげた。
ハンナは剣を抜いて、俺の鼻先に剣を突き立てた。
「すまん。つい嬉しくって、はしゃいでしまった。反省しています。お許しください」
「一応今回は初めての事ですので許しますが、フルショア公国の王子に対する非礼は許されません。
次は切って捨てます」
「はい、もうしません。絶対に」
いやー、マジでハンナって怖いよう。
でもまあ男同士なんだから、そこまで怒らなくってもねえ。
ああハンナはマリウスが好きなんだな、きっと。
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