第3話 アカデミー寮-ハンナ視点
私はハンナ・ビチック。18歳だ。今はリガリア王国に留学中のマリウス王子の護衛としてアカデミーに一緒に留学している。
アカデミーの寮でもマリウス様の護衛として同部屋を希望したのだが、リガリア王立アカデミーでは新入生は必ず最上級生と1年間同室にならなければいけないとの事で認められなかった。
このためマリウス様は、在校生代表のピーターとやらと同室になってしまわれた。大変心配である。
私はそのピーターの婚約者のエレーヌとやらと同室だ。
ピーターがマリウス様に不敬を働かぬよう、よーく釘を刺しておかねばならぬ。
「エレーヌ、これからよろしく頼む」
エレーヌは赤毛の髪にブラウンの瞳、大柄でスタイルの整ったなかなかの美女だ。
公爵家の令嬢というのもうなずける。
「ええ、ハンナ。わたくしもよろしくお願いします」
「ハンナ様、あたしはエレーヌ様の側使えのナンシーです。エレーヌ様は公爵令嬢ですので、側使えの同室が特別に許されております。ハンナ様のお世話もさせていただきますので、なんなりと申しつけくださいませ」
「ナンシー、よろしく頼む」
エレーヌの侍女のナンシーは灰色の髪に緑の瞳、小柄だが胸が非常に大きな娘だった。
「さて、ハンナ、授業のエントリーについてはどのようにするつもりですか?」
「私はフルショア公国のアカデミーを既に卒業しており、今更何かを学ぶ必要はない。
このアカデミーの卒業を目指すわけではない。
マリウス様の護衛として付き従うのみなので、マリウス様が参加される授業に共にエントリーするだけだ」
「マリウスはわたくしの婚約者のピーターの同室ですので、それではピーターとも一緒にエントリーを合わせましょう」
結果として、マリウス様とエレーヌ、ピーターと一緒に話をして、必須科目の基礎戦闘訓練、礼儀作法、ダンスとヘンリー・ベクトル教授の実験室に参加することになった。
必須科目の基礎戦闘訓練、礼儀作法、ダンスはすでにフルショア公国のアカデミーで学んでいる。マリウス様も私も、一回でクリアをした。
その後、順調に中級戦闘訓練、上級戦闘訓練も合格を果たしたマリウス様と私は、ピーターのパーティーメンバーとして、一緒にダンジョン探索をすることになるのであった。
そういえば同室で暮らしてみてすぐにわかったことである。
エレーヌは女性同性愛者であった。
ピーターとの婚約は実は仮面婚約で、本当の恋人はナンシーのようであった。
さらになんとナンシーはピーターとも関係を持っているようであった。
こんなただれた関係を続けているピーターと同室のマリウス様が心配で心配でしかたがない。
いっそピーターとエレーヌとナンシーが同室で、私とマリウス様が同室となるよう、部屋のチェンジをしてもらえないだろうか。
何度も頼んでいるのだが、アカデミーからは良い返事がもらえない。
私は心配で頭が変になりそうだ。
読んでいただきありがとうございました。
これからは毎日7時に更新をしていくつもりです。
更新頑張れ!
続きも読む!
と思ってくれた方は、下の評価クリックで応援してくれるとすごく嬉しいです!
気に入ってくれたらブックマークしてくださいね。
また感想や誤字脱字など教えてくだされば、とても嬉しいです。
よろしくお願いします