第2話 アカデミー寮-マリー視点
アカデミーの寮は5階建てです。その最上階の一番奥の部屋が私とピーター様のお部屋だそうです。
私はフルショア公国の王子で、留学生なので、今期の新入生代表だそうです。
アカデミーでは新入生は必ず最上級生と二人部屋になるのだそうで、また新入生代表は必ず在校生代表と同部屋になるそうです
「おじゃまいたします」
部屋にはすでにピーター・クーリエ様が私のことを待っていました。
ピーター様は少し銀色が混じった短めの金髪で、私の瞳よりもより青が強い蒼い力強い瞳を持つ美男子さんでした。
最上位学年の在校生代表ですが、年は私と同じ15歳だそうです。
「よく来たね、マリウス、待っていたよ」
「ピーター様、初めてのリガリアなので、なにかと行き届かないことがあるかと思いますが、ご指導よろしくお願いいたします」
「マリウス王子、アカデミーでは外の身分は関係ないのですよ。同じ15歳ですし、俺もマリウスと呼び捨てにしますから、あなたもぜひピーターと呼び捨てにしてください。敬語もなしですよ」
「ふふふ、ピーター様も敬語を使っておられますよ」
「たしかにそうですね。実は俺は今でこそ王家の友人として、王族に準じる扱いを受けていますが、もともとは貧乏子爵家の次男坊なんです」
「そうだったんですか?」
「ええ、だからけっこう周りに敬語つかっちゃうことが多いんですね」
「わかりましたピーター、これからよろしくお願いします」
「さてそれでは一応上級生としてアカデミーの授業のオリエンテーションをしたいのですが、良いですか?」
「よろしくお願いします」
「まずマリウスは将来どのようになりたいと思っているのですか?」
「私はフルショア公国の王子ですが、王位継承順位が低いので、どこか他国に婚姻で送られることになってしまうと思っています。
せっかくリガリア王国に留学することができたのですから、ぜひともリガリア王国でなければ学ぶことができないことを学びたいと思っています」
「なかなかアクティブですね。ちなみにマリウスの魔法属性は何なんですか?」
「私は光属性です。フルショア大公家の者には光属性を持つものが多く生まれるのです」
「光属性ということは回復系の魔法を使えるのですか?」
「はい、攻撃系の光魔法はほとんど使えませんが、回復系は治癒、解毒、魔力回復、蘇生までだいたい使えます」
「すごい。蘇生ってほとんど使える人がいないって聞いていました」
「たしかにそうですね。フルショア公国でも私しか使えないって言われていました」
「マリウスはすごく優秀なのですね」
「ピーターにそう言っていただけると嬉しいです」
「それではなるべく早く上級戦闘訓練に合格してもらって、うちのパーティーに入ってもらわなければですね」
「私は戦闘には不向きですよ」
「攻撃はできなくてもかまいませんよ。攻撃はパーティーの中で前衛が受け持ちます。回復系はとても貴重なので、パーティーの中では真ん中に入ってもらって、みんなで守りますよ」
「私などでも迷惑ではないのですね」
「はい、うちのパーティーは前衛がジョルジュと俺、後衛がトーマスとニコルの4人でやっているので、前衛に一人、後衛に一人を加えられると良いなと思っているんです。回復系はもっとも欲しい人材ですね」
「それじゃあ私の護衛をしているハンナが前衛で良いかもです。ハンナはフルショア公国で一番の女性騎士ですから」
「ハンナってマリウスの騎士ですね。王子の護衛が女性騎士っていうのはかなり珍しいですが、それだけ優秀なんですね」
「えー、確かに」
本当は王女なのでってのは内緒だから、ごまかすしかありませんでした。
「とりあえず基礎戦闘訓練、礼儀作法、ダンスの必須科目は取るとして、もし良かったら、俺がメインで行っているヘンリー・ベクトル教授の実験室にも出ませんか?」
「ヘンリー・ベクトル教授ってどういう方なんですか?」
「アカデミーの名物教授で、発明家ですよ。飛空艇の開発にも関わっていた方なんです」
「え、あの飛空艇ですか。
私はフルショアからリガリアまで飛空艇で運んでいただいて、あまりの快適さに、空の旅の虜になってしまいました。
ぜひともお話を聞いてみたいです」
「そういえばマリウスの騎士のハンナは、エレーヌと同部屋になったみたいですね?」
「ええ、エレーヌ様はピーターの婚約者ですよね?」
「はいそうです。それではエレーヌと、ハンナとも調整をして、いくつかのエントリーを重ねるようにすると良いですね」
「はい、そうすることにします。ありがとうございます」
読んでいただきありがとうございました。
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