表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダブル異世界転生 現代科学で人を幸せにしたい  作者: とと
第2章 王立アカデミーでの活躍
45/122

閑話4 エドガーのブレンディな日々

いつもご愛読ありがとうございますます。

本日で連載開始1ヶ月です。

本日は13時に人物紹介と地図をアップして、第2章を完全終了させます。

 俺の名はエドガー・ミラボーである。

 父はリガリア王国の宰相をしている。

 ミラボー家の長男である俺は、将来は父の跡を継いで、この国の宰相になる予定だ。


 そのために年の近いエギル王子の侍従をしながら、王立アカデミーで勉学をしている。


 俺と一緒に侍従をしているのがジョゼフだ。

 ジョゼフは基本脳筋で何も考えていないが、剣の腕前と雷魔法は強烈で、将来は王国軍の大将軍となる逸材だ。


 王太子のエドガーは偉ぶる事もなく、いつもフレンドリーで俺たち侍従の意見も聞いてくれる。

 きっと将来は名君としてリガリア王国はますます発展していく事だろう。


 そんな俺たちの前にピーターは現れた。

 アカデミー最終年で20歳のエギル王子と寮の同室となる新入生代表のピーターはなんと12歳。


 12歳でのアカデミー入学など、名君中の名君と呼ばれる先先代アベル国王様以来、ほんの数人しかいない快挙である。


 さらにはたったの4回で上級戦闘訓練を合格してしまった。

 歴代最高を大幅に短縮する大記録だ。


 そんなピーターの実家であるクーリエ領へ冬休みに俺たちは遊びに行った。


 俺はそこでこれまでの人生を覆してしまう経験をする。


 俺は酒が好きだ。女どもはクーリエーヌがシュワシュワして美味しいなどと言っているが、俺は飲むならブランデー以外は無いと思っている。


 最近はクーリエ領から出荷されているコニャックがお気に入りだ。それも年々美味くなっているという不思議な酒だ。


 今回の冬の旅行ではピーターがコニャックの樽を長期保管しているスライムの泉という場所に案内してくれた。


 これまで秘密になっていたが、コニャックはピーターがスライムのハイジとともに魔法で蒸留を行い、仕込んでいる蒸留酒だったのだ。


 ピーターが7歳の時に仕込んだのが最初の年だったので、今年は5年ものとなるVSOP(Very Superior Old Pale)と名乗れる高級酒を初めて出荷できるのだそうだ。

 ちなみに10年を超えて熟成したものがX0(Extra Old)と名乗れる真の高級酒なのだそうだ


 あの毎年美味くなっていく仕組みは、このスライムの泉での長期熟成が原因なのだそうだ。


 スライムの泉ではハイジの姉妹であるスライム達が、酒をちびりちびりと飲みながら、酒が熟成されていくのを見守っていた。


 樽の中で蒸留したての原酒はアルコール度数が70%もあるそうだ。

 それが毎年樽から少しずつ蒸発するので3%くらいはアルコールが薄くなっていく。

 この蒸発していくアルコールをスライム達が好んで飲んでいるのだ。


 ピーターはスライムの取り分って呼んでいた。

 スライムが樽にまとわりついて、アルコールを飲んでいる方が、樽だけで置いているよりも目減りが少ないうえに、樽の中の酒が美味しくなるらしい。


 王子はそんなスライム達と酒を飲み交わして語らっている。


 俺はそれぞれの樽の酒を少しずつ飲み比べていった。

 熟成が進んでまろやかになっていくもの。

 少し気が抜けた様になっているもの。

 オーク樽の香りがつきすぎてアクが強く感じるものなど。

 それぞれの樽の酒は全て少しずつ違うのだ。


 この酒さえあれば俺の人生は必ず幸せだと直感した。


 ピーターは俺に5年ものの出荷のためのブレンドを任せると言ってくれた。


 コニャックの出荷品は樽からそのままボトルに詰められるのではなく、複数の樽を混ぜ合わせ、同じ味わいに仕上げてから、ボトリングされるのだ。


 このブレンド作業は優れた味覚と優れた嗅覚を持ち、多くの樽の癖を覚えている事が求められる難しい仕事だ。


 それをピーターに任されてしまった。


 俺は寝る間を惜しんで、ブレンド作業に明け暮れ、そうしてブレンドのレシピを完成させた。

 後は職人達に任せても大丈夫だ。


 冬休みの一ヶ月は本当に有意義な時間であった。


 ピーターは俺用にブレンド済みのコニャックの樽を一つくれた。

 これで俺は当分コニャックを飲み続ける事ができるだろう。


 しかし王都に帰ってからも時々クーリエ領のスライムの泉の事を思い出す。

 宰相ではなく、一人のブレンダーとして生きるのも悪く無いかもしれないな。


 俺がブレンドした今年のVSOPコニャックは、末端価格で、一瓶金貨5枚で売られている。

 味のわからない奴らだ。俺なら金貨10枚でも出すに決まっている。


 将来の名宰相をあわや飲んだくれのブレンダーにしてしまう危機を作っていた事にピーターは全く気がついていませんでした。


読んでいただきありがとうございました。


これからは毎日7時に更新をしていくつもりです。


更新頑張れ!

続きも読む!


と思ってくれた方は、下の評価クリックで応援してくれるとすごく嬉しいです!


気に入ってくれたらブックマークしてくださいね。


また感想や誤字脱字など教えてくだされば、とても嬉しいです。


よろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ