閑話1 マリウス・シマンスキー・フルショワの逃避行
私の名前はマリー・シマンスカ。フルショア公国の第11王女です。
フルショア大公国のアカデミーの5年生で、今年15歳になります。
フルショア公国の大公である私の父が最近病に伏しています。
次の大公になる王太子は私の兄で第2王子のアダム兄様です。
第2王子ですが正妻であるお母様の最初の男の子だからです。
これに対して側室の子であるものの第1王子であるダニエル兄様が公位継承争いを起こしているのです。
正妻であるお母様はイオニアの都市国家の一つスパルタクスの姫として生まれ、フルショア公国にはお嫁入りしました。
それに対してダニエル兄様の母であるドミニカ妃はフルショア最大の領主貴族であるビチック伯爵家を後ろ盾にしています。
国内での権力構造ではアダム兄様よりもダニエル兄様の方がかなり強い状況なのです。
国内の貴族は完全に二分されていて、双方の派閥への勧誘合戦で賄賂が飛び交い、人身も乱れきっていました。
そんな危険な状況の中でアダム兄様は私に海外留学を勧めました。
行き先はリガリア王国の王都にある王立アカデミーだそうです。
国内が不穏な空気に包まれている中で、私はフルショアを離れたくありませんでした。
しかし王位継承争いに敗れた際に、私がどのように扱われるのかが不安だと真剣に語るアダムお兄様には逆らえませんでした。
折良くリガリアの飛空挺が我が国を訪れる機会があり、私と供のハンナ・ビチックは飛び乗るようにリガリアの飛空挺に乗り込みました。
留学に際して、私は男装の魔法を受けました。
この魔法は私の姿かたちを男性に見えるようにする魔法です。
外見上男性に見えるというより、本当に男になってしまう魔法です。
併せて身分証明書を男性名であるマリウス・シマンスキーとし、フルショア公国第7王子であると偽造していただきました。
正式に証明書を発行しているところで作っていただいたので、偽造品ではないかもしれませんが、真実の証明書ではありません。
ただこの男装の魔法は完璧なものではありません。
もしも私が男性に恋心を持ってしまったら、男装の魔法は完全に解けてしまい、元の女の姿に戻ってしまうのだそうです。
ハンナと手を握り合って、アダム兄様や、病床のお父様の事を心配しながらも、飛空挺での空の旅を楽しみました。
前世でも私って空の旅が大好きでした。
キャビンアテンダントになれたらどんなに素敵だろうと思っていました。
でもキャビンアテンダントに採用されるには容姿が重要ですものね。
前世の醜い白井真里亞では叶わぬ夢でした。
今世では飛田先生のおかげで、誰からも美しいと言われる容姿を持っているマリーです。
王女からキャビンアテンダントに転職できるかな?
あ、今の私って男性だから。チーフパーサーだったっけ?
そんな思いに揺られながら、マリー改めマリウスとハンナのリガリアへの逃避行は続くのであった。
やっとダブル異世界転生のもう一人の主人公であるマリーの登場です。
実は第1章、第2章は本編である第3章への導入として軽く描くつもりだったのですが、ちょっとアカデミーの学園生活が楽しくて調子に乗ってしまいました。
ということで、もう一人の主人公のマリーのリガリア王国での活躍をご期待ください。
あっ、第2章の閑話はもう少し続きます。
読んでいただきありがとうございました。
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