第22話 初めての◯◯
本話にはガールズラブとちょっとエッチな内容が含まれます。そういうのが苦手な方はご注意ください
授業以外での大きな変化といえば、あれが来た事だ。
男であればみんな経験している事だろう。
オネショじゃあないんだよ。
PPPのお茶会でナンシーとよく会うようになったからかも知れない。
夢にナンシーが出てきて、おっぱいを触っても構わないっていうもんだから、お言葉に甘えてしまった。
おっぱいを優しく触ると、ナンシーは甘い喘ぎ声を出した。それは今まで俺が実際には聞いた事がない、ステキなものだった。
その瞬間、俺の下半身に大きな甘い快感が広がった。そしてすぐその後に来る下半身が濡れているような不快感。
そう俺は夢精を経験したのだ。
少年から大人の男への階段の第一歩を踏み出したのだ。
おかげでナンシーと次に会った時にはバツの悪い気持ちになった。
その時にエレーヌは何か急に俺と距離を取るような態度を示した。
どうやら俺が少年ではなく、男になったことを明確に嗅ぎ分けたのだろう。
さすがは男性恐怖症だ。
第2次成長期が始まった事で俺の身体は急速に大きくなってきた。
身長が伸びて、胸板が厚くなってきた。喉仏が膨らんで、声も低くなった。
匂いもきつくなったみたいだ。
PPPでのお茶会も、一人称を「僕」から「私」に変えた。確実に少年ピーター君ではなくなっている事が誰からも認識され始めてきた。
そんな頃、エレーヌと二人っきりで真剣な相談があると言われたのだった。
「ピーターは来期についてどのように考えていますか?」
「来期ですか、あまり真剣に考えた事はないですね」
「来期はエギル王太子が卒業され、ジョゼフとエドガーも最終学年の新入生の保護者義務になるでしょ。
相部屋の相手をどうするか考えていますか?」
「あ、そういえばそうですね。全然考えていなかったです」
「実はわたくしから折り入ってピーターにお願いしたい事があるのです」
エレーヌのこれまで見た事がない真剣な眼差しに、思わず息を飲み込んでしまった俺であった。
「わたくしには多くの婚約話が来ているのです。
わたくしももう16歳。いつまでも子供のようなワガママは許されません」
「あれ、でもエレーヌは男性恐怖症じゃないんですか?」
「ええ、ピーター。貴方の言う通り、わたくしは男性恐怖症です。こうやってこの距離で話をできる男性は貴方だけなのです」
「いやエレーヌ、最近はこの距離でも辛そうに見えるよ」
「はい、確かに最近ピーターが大人の男になってきて、急に臭いが辛くなってきたのですが、それでも同じ部屋で二人っきりで喋っていて、鳥肌が立たない男性は貴方だけなのです」
「エレーヌは大変なんだねえ」
「それでお願いというのは実は」
ゴクリ
「ピーターにわたくしと婚約をして欲しいのです」
「はっ???」
「このままではわたくしは誰かお父様の決めた男性と婚約させられてしまいます。
もしもその男性がアカデミー在学中ならば、男性と二人っきりで、同部屋で過ごさなければなりません」
「確かにそうですね」
「もしもそんな事になってしまったらと考えるだけで、身体中が痒くなってしまうのです
どうか、どうか、わたくしを助けると思って、わたくしと婚約してください。お願いします」
「えっと、俺とエレーヌが婚約ですか。考えた事もなかったですが、公爵家令嬢と子爵家の次男坊なんて、身分の差が大きすぎて無理じゃないですか?」
「いえ、ピーターはすでに王族の友人として王より認められているので、王族に準じる立場になるのです。わたくしの公爵家との間に身分差はありません」
「あ、そうなんですか? でもエレーヌは男性恐怖症なんですよねえ。俺だとマシなだけで、この先、俺がどんどん男として成長していけば、他の男達のように近づく事も無理になるんじゃないのですか?」
「そうなる可能性は確かにあります。
でも私達には共通の友人がいます」
「それってナンシーですか?」
「はい、彼女です。
実は私と彼女は心を許し合い、身体を重ね合った仲なのです」
うわぁ、童貞の俺にヘビーな話を始めやがったぞ。
「わたくしには彼女がいれば大丈夫です。
そして彼女にとっては貴方が想い人だと聞きました。
貴方もナンシーの事を憎からず思っていますよね?」
「確かに俺はナンシーの事を好きですよ。
あのおっぱいに視線は釘付けでした」
「ふふ、正直ですね。
わたくしもそういう飾らない正直な貴方が好きですよ」
「あ、ありがとうございます」
「そこで契約なのですが、わたくしと貴方は婚約する。
そして来期の部屋割りではわたくしと貴方は同部屋になる」
「はい」
「わたくしは公爵家の令嬢ですので、側使えの使用人を寮に置く事が許されています。
それなので実際にはナンシーを含めて3人部屋として過ごすという事です」
「なるほど」
「わたくしとナンシーが愛し合っている時には貴方が部屋の外に行く。
貴方とナンシーが愛し合う時にはわたくしが外出する
そういう風に暮らして行けば、お互いの生活に問題は出ないでしょう」
「俺とナンシーが愛し合っても良いんですか?」
「はい、ナンシーはその〜、わたくしを本気で愛しているのではありません。
ナンシーが愛しているのは貴方なのです。
でも彼女は身分の差がある貴方の妻にはなれない事も分かっているのです
だからナンシーは貴方の愛人として、貴方に抱かれる事が出来るなら、わたくしの恋人を続けて良いと言ってくれているのです」
「なるほど、エレーヌの提案は理解できました」
「無茶な提案をお聞きくださり、ありがとうございます」
「ちょっと検討させて欲しいので、時間をいただいても構いませんか?」
「ええ、よろしくお願いします。
それともしも貴方に本当に好きな人ができて、
その人を妻に迎えたければ、わたくしは第2夫人となります。
逆にわたくしにナンシー以外の恋人ができ、
その人を貴方が好ましく思われないなら、
わたくしのせいにして離婚をしていただいてもけっこうです」
「エレーヌはそこまで覚悟しているのですね
俺はナンシーを愛している訳ではないので、ナンシーと愛し合う事はないと思っています。
でもエレーヌの事は友人として手助けはしたいです。もちろんナンシーも。
だから貴女との仮面婚約を受け入れます」
「ありがとう、ピーター」
エレーヌは握手を求めてきた。俺は素直にその手を取った。
エレーヌは笑顔で
「やっぱり貴方なら肌を触れても鳥肌が立たないわ」
と俺に告げた。
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