第13話 王宮での謁見
第2週目の光の日、俺はエギル王太子と一緒に王宮にやってきていた。お供は王太子の侍従であり、騎士団長の息子でもあるジョゼフ・オフマンと、同じく侍従で、文官見習いであり宰相の息子でもあるエドガー・ミラボーである。
将来の王、騎士団長、宰相と言っても良いメンバーに、なぜ俺なんかが入っているのだろうか?
こんな豪華絢爛なメンバーである。王宮にたち入る際も堂々としたもので、キョロキョロと挙動不審な態度をとっている俺がかなり目立っていると思う。
流石に引率者のおかげで、特に止められることもなく、王宮の奥の奥の部屋まで足を踏み入れる。そこにはエギル王太子によく似ているが、少し恰幅を良くして、ヒゲを生やしたナイスミドルと、ややお年は召されていたが、若い頃は相当ブイブイ言わせたいだろうなという元ヤンキー風の女王さま系女性のカップルが待っていた。
「エギル、ピーター君を連れてきてくれたか、ご苦労」
「父上、ピーターをいきなり王宮に呼びつけるもんだから、今日のピーターはビビリまくりですよ」ハハハってエギルは笑った
「お初にお目にかかります。ゴードン・クーリエ子爵が次男のピーター・クーリエと申します。陛下にはご機嫌うる」
「あ、堅苦しい挨拶はいらん。わしは陛下などではなく、エギルの父のミシェルじゃ」
「そうしてわたしくはエギルの母のフレンソワです。ピーター君よろしくお願いしますね」
「はい、よろしくお願い申し上げます。」
「まだ固いな。ピーター。さて今日そちに来てもらったのは、そちにどうしても確かめておかねばならない質問があったのじゃ」
「はい、どの様な事でしょうか?」
「ズバリ聞くぞ。そちは転生者ではないか?」
「え、えっ、えーーーえー」
「それほど驚くと言うことは、そちも転生者の意味はわかっているのであろう? 実を言うとな、王家の者は転生者の末裔であるのじゃ」
「そうなんですか?」
「実はな、この世界には時々転生者と呼ばれる地球という場所の記憶を持った人間が現れている事が、様々な歴史書から読み取る事が出来るのじゃ。
ある者は戦乱をもたらしたり、ある者は文化の大進歩をもたらしたり、ある者は食文化の大変革をもたらしたりした。
アカデミーにおるベクトル教授の師匠であり、わしの祖父である先先代の国王もそうであった。
なんと空を飛ぶ船を作ったのであるからな」
「有名なリガリアの飛空挺は先先代の国王陛下が造られたのですか!」
「そうじゃ、ベクトル教授の技術も入っていると聞いているが、基本的なアイディアはお祖父様が作ったものなのだ。
しかしお祖父様がなくなってから、なんとかベクトルが後を受け継いでいるが、その後の後継者たる者の育成が滞ってしまっておるのじゃ」
「そういうことだったのですね。陛下がおっしゃった様に、俺は転生者です。前世では日本で高校の化学の教師をしていました。」
「ベクトルからも相当の文明水準をもっていると思われると報告が上がっておったから、そちには期待をしておったのじゃ」
「俺なんかに陛下が期待を?」
「そうじゃ、転生者である祖父を持つわしと、転生者であるそちは、ある意味家族のようなものであろう。アカデミーではそちの同室のエギルを含めて、家族として接してくれい」
「ありがとうございます。私のような者に過分のお言葉を賜り、有難き幸せに存じます」
「うーん、堅苦しいのう。エギルや。次までにピーターをもう少し柔らかくしておけよ」
「分かりました。父上。」
「それとな、先ほど言っていた飛空挺だが、今は飛ぶ事が出来ない状態になっているのじゃ。ピーターの力でなんとかならないものか?」
「一度拝見させていただきたいと思います。見てみなければ何とも」
「そうであろう。では許可は出しておくので、ベクトルとも話をしてみてくれ。よろしく頼む」
「畏まりました」
こうして王宮での王と皇后との謁見は無事に終了し、俺は王族の友人・家族として扱われる事となったのであった。
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