第11話 中級戦闘訓練
俺は第2週目の風の日のエントリーで、中級戦闘訓練を選択した。
第1週で単位2を獲得した基礎戦闘訓練の上位のクラスだ。担当は基礎と同じでジャン・デュラン先生だった。
基礎戦闘訓練ではまずは魔法を発動して、それを戦いに利用するという点が重視されていたが、中級では戦闘に使用する様々な魔法制御の訓練を行うとの事だった。
火属性を持つトーマスを例えにして説明すると、基礎ではファイヤーボールを発生させて、それを的に当てられれば合格。
中級ではファイヤーウォールで複数の的を火で包んだり、ファイヤープロテクションで自分の体を火で包んだり、ファイヤーエンチャントで武器に火属性を纏わせて攻撃したりする必要がある。
俺の魔法属性は無属性だ。
俺以外に無属性などという変な属性を持つ者はいないので、火属性のような使い分けは簡単ではないが、いくつかをデュラン先生に披露した。
デュラン先生の持っていた鉄の剣を握り潰す圧力魔法は入学試験の際に見せた。それで基礎戦闘訓練も合格になったのだ。
中級では範囲魔法が求められるとの事だったので、とりあえず近くにあった直径1mほどの大きな岩を、圧縮魔法を使って木っ端微塵にしてみせた。
デュラン先生は滝のような汗をかいていた。
続いてさらに隣にあった同じくらいの大岩を、圧縮を薄くスライスするようにイメージすることで、薄さ1cmくらいの板状に切り分けてみせた。
デュラン先生の汗が水たまりを作り始めた。
スライスしてみると大岩の中には翡翠が含まれていた様で、一部に綺麗な緑色が含まれた岩性の板が何枚か仕上がった。
今度は何も無い場所に拡散と圧縮をほぼ同時に、少しだけ場所をずらして発生させた。
拡散は空気が拡散して真空を作り出すことができる。逆に圧縮では高圧の空気ができる。
高圧に圧縮された空気は真空めがけて一気に流れ込むように進むので、強力な空気の流れができる。
これを複数発生させる事で、風魔法のように攻撃として使用できるのだ。
デュラン先生の汗でできた水溜りは、俺の作った竜巻に舞い上げられてどこかに飛んで行ってしまった。
「合格。おめでとうピーター。君は中級戦闘訓練も合格だ。やはり君は凄い。凄すぎる。来週からは上級戦闘訓練に参加してくれたまえ。」
デュラン先生は盛大に褒めたたえてくれた。
「ところでピーター、君は風魔法属性も持っているのか?」
「いえ、風魔法は持っていませんよ。
ただ空気があるところで圧縮と拡散を使えば風魔法に近い事が出来るだけです。
また水が近くにあれば同様に水魔法に近い事ができますし、火や土を使って、火魔法、土魔法の真似事もできるんです」
「うーむ、恐ろしい能力だなあ。
おおよそ弱点がないじゃ無いか。
ちなみにどのくらいの範囲まで魔法を扱えるんだ?」
「一応両手を広げてイメージできる範囲ですね。この教室内であれば大体全部いけますね」
概ね直径20mくらいが俺の現在の能力限界だった。
ただこの限界距離は俺の成長とともに伸びているので、まだ成長期の俺はもう少し魔力も距離限界も伸びる事だろう。
デュラン先生は引きつった笑顔で黙り込んでしまった。
(うーん、ピーターってすでに王国で、対人戦では最強じゃないのか?
とりあえず上級戦闘訓練のガブリエル・オフマン騎士団長にはお伝えしておこう)
デュラン先生は心の中でそう思うのだった。
ピーターの獲得単位数 8 (基礎戦闘訓練2 中級戦闘訓練5 行軍訓練1)
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