第5話 ヘンリー・ベクトル教授の実験室
本日2回目の更新です
エギル先輩の情報を基に、俺はエントリーをヘンリー・ベクトル教授の魔法工学。
必須単位である礼儀作法、ダンス、戦闘訓練を最初の選択科目とした。
それと単発で行われる新入生親睦行軍訓練に参加することにした。
エントリーの科目の追加や、変更は毎週、風の日に行うことができるので、季節季節のイベントを見ながら様子を見ることにしたのだ。
やっぱり最初に参加したい授業はヘンリー・ベクトル教授の実験室だ。
ヘンリー・ベクトル教授の実験室に出てみると参加している生徒はほとんどが上級生ばかりで、8人だけであった。
新入生でこのクラスに参加しているのは俺だけだった。ちなみにクラスの中にはしっかりエギル先輩もいた。
エギル先輩はすでに200単位を超えているのだそうだ。
しかし王族であるエギル先輩は王族の慣例に従い250単位を集めるまでは卒業をしないことにしているそうだ。
ただ20歳になった王族はアカデミーを卒業して王族としての仕事に就かなければならないため、今期がアカデミー最後の期になる。
そのため大きな単位数を獲得できる難易度が高いクラスを中心にエントリーを出しているのだそうだ。
エギル先輩以外のクラスメンバーもベクトル教授と親しげに会話をしている。
みんな去年からずっとこのクラスに参加しているとの事だった。ベクトル教授は何かをクラスのみんなに教えることはほとんどないのだそうだ。
教授の実験室は常に開いており、メンバーはいつでも使うことができるので、実験室で個人の発明品の作成や、実験を繰り返している。
このクラスで単位を得るには魔法工学を使った発明品を提出し、ベクトル教授に認めてもらうだけなのだ。
ベクトル教授がクラスを開いているときには、生徒から提出された発明品をクラスメンバーの前で使ってみたり、発明品の欠点や、改善点などを指摘することがある。
誰も新しい発明品を提出しない時にはベクトル教授は実験室にいないことが多い。ベクトル教授がクラスを開くと言ったからといっても、別に必ず出席しなくても良いのだそうだ。
ただ教授のアドバイスや、他の人の課題の進捗状況はみんな気になるので、なんだかんだでいつも実験室への出席率は良いらしい。
たまには教授自身が作った発明品が出てきて、クラスメンバーの目の色が変わることがある。
これはやりがいのあるクラスに巡り合えた。俺はエギル先輩のアドバイスの正しさを実感した。
さて俺はどんな発明品を作り出そう。まずはクラスメンバーのお手並み拝見だ。メンバーがどんな発明品を作ろうとしているのか、どんどんメンバーに質問をぶつけてみる。
通常、魔法は人の魔力を媒体として魔法を発動させる。しかし魔法工学では魔力を蓄えた魔石を使って、人の魔力の代替をするのだ。
魔石から魔力を引き出す最初のきっかけは魔力を持っている人間が行う必要がある。
しかし一度スイッチが入った魔石は、魔石の中に魔力がある限りは動き続けることができる。
もちらん魔力を持った人間が停止の魔力を与えれば、途中で停止させることもできる。
ただ魔法式を途中で変更することはできないので、動作パターンを変更するようなことは非常に難しい。
魔力を電力に置き換えて考えてみれば、現代科学の見地から考えればそれほど難しくないのではないかと思ってしまった。
そもそも電力というのはこの世界にはないのだろうか? ついつい魔法が当たり前の世界なので、本来現代社会では当たり前すぎる電力について全く考えていなかった自分に気が付いた。
この世界には化石燃料が存在しないらしい。地球では石油や石炭といった化石燃料を使用することで19世紀からの産業革命は時代を大きく進化させることになった。
しかし化石燃料を使わなくとも、水力や原子力、太陽光などで電力を発生させることはできるはずだ。
俺の圧縮と膨張の魔法を使えば蒸気機関を作ることはそれほど難しくはないはずだ。そのために必要なものはまずは永久磁石。さらには大きな電流を流すことができる電線だ。
まずはそれらがなんとか入手できないか探してみようと思った
読んでいただきありがとうございました。
第2章に入ってきて、けっこうノリノリで楽しんで書いています。これからしばらくは毎日7時に更新をしていくつもりです。
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