閑話1 マリー・シマンスカ・フルショワの心配
私の名前はマリー シマンスカ。フルショア公国の第11王女です。フルショア大公の正妻の3番目の子として生まれた私には兄が一人と姉が一人います。またお父様には私のお母様以外にも3人の側室がいて、兄弟は全部で15人もいます。
アベルお兄様は第2王子だけど、正室の息子なので王太子と呼ばれています。お父様譲りの金髪と明るい青い瞳の美男子です。私とは6つ違いの16歳で、社交界でもモテモテですが、すでに正式な婚約者がいて、もうすぐに結婚する予定なのです。
お姉様はどちらかというとお母様似で、ちょっとくすんだ金髪と深みがかった緑の瞳を持つ落ち着いた感じの女性です。お兄様よりもさらに4つ年上の20歳。昨年隣の国の皇子と結婚してしまったので、最近はなかなか会うことが出来ず、私はとても寂しい思いをしています。
今日は私の星見の儀です。星見の儀とは持って生まれた魔法属性を調べるための儀式で、私は朝からちょっとドキドキなのです。
実は私には誰にも打ち明けていない秘密があるのです。私にはマリーとして産まれて来る前の前世の記憶があるのです。
この前世の記憶は小さな時には忘れられていて、10歳が間近になった最近、急にはっきりと思い出せるようになったものでした。
前世の私は何の取り柄もないような醜く暗い女の子だった。小学校、中学校、高校と同級生にいじめられ続けた。高校になって実験好きの化学の飛田先生に淡い恋心を持った。だから化学の実験だけはけっこう一生懸命頑張ったつもりだった。
でも飛田先生に好きなんて言えるはずはない。醜い私のことなんか、誰も好きになるはずはないのだから。
そんな思いがいじめっ娘の同級生にばれてしまった。ますます酷くなるいじめ。とうとう耐えきれなくって屋上から飛び降りてしまった。
でも死ななかった。私を地上で受け止めてくれた人がいたのだ。その人は飛田先生。なんと私の自殺未遂は飛田先生によって妨げられた。そしてその行為が飛田先生を死に追いやったのだ。
私は自分の愚かな行いを責めた。責めて責めて責めた。そうしてついに私の精神は崩壊し、死の瞬間を迎えることになった。
死んだ私が気づいたのは真っ白な部屋だった。その部屋で神様は私が飛田先生と同じ世界に転生することを教えてくれた。それも飛田先生が私宛にボーナスを使ってくれて、容姿端麗な女性に生まれ変わらせてくれることになっているとの事を知ったのだった。
飛田先生ありがとう。こんな根暗な私だけれど、新しい世界では努力して前向きに生きてみようと思います。そしてきっときっと飛田先生に恩返しができるようになります。
そういう訳で、今日は私の星見の儀です。私の過去が星見の儀であばかれてしまわないか、私は朝からちょっとドキドキなのです。
星見の儀で私はめでたく光属性魔法の適性があることがわかりました。
光属性はフルショワ大公家の者に数多く遺伝する魔力です。良かった良かった。
でもあれ、なんかちょっと違うって。私が星見の儀で使用した水晶が、使う前よりも綺麗になっているって。確かに水晶をよくよく見てみると、少し濁った感じの部分が下の方に集まっており、それ以外の部分はよりクリアーな感じになっていることが研究者によって見つけられました。
私には光属性に加えて、無属性の分離と成分化という二つ目の属性があることがわかったのです。二つの魔法属性を持つのって、かなりレアなんだそうです。
ちなみに私の使った後の水晶は、他の水晶よりも弱い魔法属性でも感知することができるようになったとの事でした。
とりあえず私としては前世のあれこれがあばかれなくって良かったなとしか思っていないんですけどね。
読んでいただきありがとうございました。
第2章からは毎日7時に更新をしていくつもりです。
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