第12話 王都へ
こうしてクーリエ領のワインの付加価値を高める事で大きく収入を増やす事ができた我が家は無事にトーマスを王都のアカデミーに送り出す事ができた。
10歳から家庭教師が居なくなって、森や畑で働いてばかりだったトーマスだったが、14歳の最後の半年は再び家庭教師に来てもらうことができた。そうして追い込みの試験勉強をしたおかげで、アカデミーの試験を無事に突破する事ができた。
魔法の実技試験の方は受験生の中でもかなり上位の成績だったようだ。毎日毎日限界まで魔力を使って働く日々が、トーマスの血となり、肉となっていたようだ。
王立アカデミーの年間の学費は金貨1枚だ。もしも昔のクーリエ領の収入のままであったなら、トーマスを送り出すのが精一杯で、とても俺がアカデミーに行くことはできなかっただろう。
ワインやブランデーが順調に出荷できるようになって本当に良かった。
トーマスがアカデミーに行き、半年がたって、冬休みになってトーマスがクーリエ領に帰ってきた際、来年12歳となる俺に王立アカデミーを受験するようにとの、王族からの督促指令がクーリエ家にもたらされた。
元々俺に対する家庭教師による勉強も、トーマスと一緒に1年前から再開している。このため多分来年でもアカデミーの入試対策は十分だろう。
魔力の方はというと、毎日限界まで魔力を使った森の開墾作業に加えて、ハイジとの共同作業の圧縮、膨張を使ったブランデー作りにより、繊細な魔力制御まで身に付ける事が出来ている。
それ以外にも森で採取できる様々なものを圧縮したり、減圧加圧する事で色々な薬剤に加工する実験を繰り返していた。
アカデミーにはリガリア王国の頭脳と呼ばれる教授陣が存在する。そんな中で勉強できる機会はきっと素晴らしいものになるだろう。
そうしてさらに半年、十分な準備をして俺は王都のアカデミーに進学することになった。王都ではどんな新しい出会いが待っているだろうか。俺の胸は期待に震えていた。
胸が震えると言えば、俺の乳母だったケイトもクーリエ家の懐事情の改善によって、メイドとして戻ってきた。いくぶん垂れてしまった気がするが、Fカップの破壊力はいまだ健在である。
それとケイトの後ろにはメイド見習いとして働き始めた俺の幼馴染のナンシーの姿があった。11歳のナンシーだけど、流石はケイトの娘である。花がほころびはじめた様に、ふっくらと膨らみはじめた胸が将来有望であることをすでに主張していたのだった。
読んでいただきありがとうございました。
本話で第1章本編が終了しました。これから閑話を3つと人物紹介を挟んだ後、第2章からは毎日7時に更新をしていくつもりです。
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