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21g  作者:
2/5

彼を初めて見たその日から、私は毎日屋上に足を運びました。

彼に会うためではないと思いながら、心の奥底では期待していた自分がいたような気がします。

晴れた日も、曇の日も、雨の日も。私は毎日同じ時間に屋上に行きました。

午後1時。それは、あの日彼を見つけた時間と同じ時間帯のこと。

今までは屋上ばかり行っていたのに、その扉を開く前に食堂をちらりと見ている自分がいました。

やはり、私は彼のことが気になっていたのです。


一ヶ月しっかり通ってわかったことは、彼は日曜日にしか現れない事でした。

もしかしたら、私がいない時間帯も来てるかも知れません。

だけど話しかけるのは億劫ですから、それを確かめる術はありません。


それから暫く経ったある日曜の午後1時。

私はある決意をして食堂へと向かいました。

今日こそは彼に話しかけようと思ったのです。

そう思い至ったのは、昨日悲しいお話の動画を見てしまったから。

2人は両想いなのに、結局1度も話すことなく離れ離れになるお話。

私は今まで、その日その時間に行けば必ず彼を見つけられると思っていたから、別れる日が来るとは夢にも思っていませんでした。

その可能性すら、微塵も考えていなかったのです。

けれど、何て話しかければいいのか分かりません。

だって相手からしてみれば、こちらをじっと見てくる変な女です。

話しかけてもし避けられたら、私はもう二度と屋上に上がれないかもしれない。

この食堂に来るのが怖くなるかもしれない。

彼に会うのが、恐ろしくなるかもしれない。


彼と話したい気持ちと、避けられたら嫌だという気持ちが半分半分で頭の中がぐちゃぐちゃになりながら、エレベーターは屋上へと着きました。

こんなにも変な気持ちになったのは生まれて初めてのことで、心臓の音が聞こえてくるくらい鳴ってて、足取りは随分重くて。

ゆっくりと歩きながら食堂へと近付きました。


そうして、いつも彼がいる窓際の席には、会いたかった彼と、私の知らない人が座っていました。

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