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海を吐く歪なチョーク

紙風船

作者: 海之本

アザミの影で

身を潜めているのは

色褪せた紙風船

自ら棘を求めて

カラダを

破りたがっている


どうしてなのか

わからない


風に乗り

船旅出ようと

膨らんだはず

気高き叫びは

誰にも

塞ぐことはできなかった


紙は破れ

突き出た葉に絡みつく


あなたが刺し通したものは

あなたにしか見えない


どうすれば

風をかき乱せるのか

どれだけ

カラダをはためかせても

風はすり抜けて行く


僅かばかりの舞を

待てど

恨めど

待てど

アザミの葉に抱かれ

紙の上

降るのは塵ばかり


心のままに

引裂き

踏みにじり

棄ててしまえば

楽になろうか


千切れた思い出が

何度も

私を滅多刺す


求めても

苛立ち

捨て去っても

痛みが

正気を食い尽くす


所詮は

ただの紙切れ

私の目に

風は映らない

あなたの目に

私は宿らない


何も語らず

あなたは指先で

紙風船玩ぶ


これ以上

どうすればいいのか


生きたまま

萎んでいく痛み

アザミにさえ

分かるまい


もう二度と

膨らむことが

出来ぬのなら

せめて

あなたの手で

握り潰してくれ


もはや風船だったと

誰にも

分からないほど

皺くちゃに

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