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#003「お勤め」

@なぎさ銀行京町筋店

アツコ「中嶋のシマは、山篇に鳥です。はい。敦子のアツは、敦煌のトン。はい? えぇと、敦賀のツルです。はい。はい、左様です。それでは、ごめんくださいませ」

カズアキ「説明が面倒な名前だな、中嶋支店長代理」

アツコ「あぁ、樋口支店長。お疲れさまです」

カズアキ「まぁ、嫁に行けば苗字は変えられるけどな。もうすぐ厄年だろう?」

アツコ「セクハラで訴えましょうか? パワハラ付きで」

カズアキ「くわばら、くわばら。子がつく名前は賢い子に育つというのは、どうやら本当らしいな」

アツコ「ずいぶんと古い迷信を持ち出しますね。それより、会議は、もうお済みなんですか?」

カズアキ「退屈だから、抜けてきた。御偉方は、まだ御高説のたまってるよ」

アツコ「代理出席しましょうか?」

カズアキ「いや、結構。配布資料と議事録があれば十分だ。じっと椅子を温める必要は無い」

アツコ「それも、そうですね。でも、重役のご機嫌を損ねませんか?」

カズアキ「大丈夫だって。二十人以上も地味なスーツ姿の男が座ってるんだ。一人くらい欠けたところで、気付かない、気付かない。それに、終わって出てきたタイミングで、シレッと何食わぬ顔で合流するから。飲みニケーションさえ怠らなきゃ、文句は言わないさ」

アツコ「不真面目ですけど、要領は良いですよね」

カズアキ「上手に息抜きしないと、調子を崩すからな。ハハッ」

  *

@北野坂おえかき教室

イヅミ「各務は、各務原市の各務で、和泉は、和泉式部の和泉です。はい。そう、あっ、いえ。イヅミのヅは、ダ行のほうです。はい。はい、そうです。それでは、失礼いたします」

ナオミ「口頭で伝わりにくい名前ですね、和泉先輩」

イヅミ「あぁ、谷崎さん。お疲れさまです」

ナオミ「尚美で良いですよ。あと、敬語もやめてください」

イヅミ「親しき仲にも礼儀あり、です。豊太郎くんのレッスンは終わったんですか?」

ナオミ「豊太郎くんなら、いま、紙粘土と格闘してます。集中力を削いではいけないと思って、ちょっと席を外してみたんです」

イヅミ「そうですか。かもめちゃんと違って、造形向きのようですね」

ナオミ「あれこれ目移りするお姉ちゃんとは正反対で、弟くんは、一つのことに没頭する、割と大人しい性格ですね」

イヅミ「かもめちゃんの旺盛な好奇心は、ピカソ風の独創的な絵画を生み出す原動力になるんですけどね」

ナオミ「黄緑の空、紫の肌、黄色い目。独特の感性を持ってますよね」


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