表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/44

#023「裏口」

@岡本駅

イヅミ「厳格で家庭を顧みない父と、冗談一つ言わない面白みに欠ける母」

アツコ「そして二人の背中を見て育った、心優しい息子」

イヅミ「両親が極端なのであって、僕は至って普通ですよ。それに、ほとんど国北さんに育てられたようなものですから」

  *

@岡本の邸宅

アツコ「ずいぶん北へ上がったわね。タクシーで移動するとは思わなかったわ。さすが、ブルジョワジー。階級格差が凄いわ。プロレタリア革命してやろうかしら」

イヅミ「これでも少なくない額の税金を納めてますから、大目に見てくださいな」

アツコ「ホンット、胃が痛くなりそうなほど広いんだから。門扉や庭がある時点で居たたまれないわ。しかも、お手伝いさんがいるなんて。でも、ここまできたら、ドーベルマンが出てきても驚かないわ」

イヅミ「さすがに、ドーベルマンは飼ってませんよ。ラフコリーなら、一時期、親戚から預かってましたけど」

アツコ「似合いそうね。名犬だった?」

イヅミ「ううん。オスだったし、まだ小さかったから、ヤンチャでしたよ」

アツコ「これだけ広ければ、散歩やドッグランに連れて行く必要ないわね。名前は?」

イヅミ「アレグロ。元はアレックスだったんですけど、身のこなしが軽快で、逃げ足の速く、剽軽者だったので、途中で変えたんです。敦子さんは、何か動物を飼ったことありますか?」

アツコ「三毛猫を拾ったことがあるわ。後ろ足を怪我してたから、手当てしてあげてね。でも、包帯が取れるやいなや、すぐに脱走しちゃったの。薄情者よ」

イヅミ「ハハッ。推理一つしてくれなかったんですね」

アツコ「披露してくれなかったわ。わたしが刑事じゃないからかしら?」

イヅミ「事件が無かったからかもしれませんよ。――あっ」

アユミ「まぁ、坊っちゃん。おかえりなさいまし」

イヅミ「ただいま。二人は?」

アユミ「旦那様はまだお戻りになってませんけど、奥様はご在宅です」

イヅミ「一階? 二階?」

アユミ「お二階のほうに」

イヅミ「フゥン。今日はバルコニーなのか」

アユミ「先に、わたしから伝えましょうか?」

イヅミ「ううん、僕から言うよ。ありがとう」

アユミ「それで、坊っちゃん。そちらの方は?」

アツコ「はじめまして。和泉さんとお付き合いさせていただいている、中嶋敦子です」

アユミ「こちらこそ、はじめまして。このお屋敷の家事全般を手伝っている、国北亜弓です」

  *

イヅミ「ねっ。言った通りだったでしょう?」

アツコ「本当ね。パッと見では、いくつか判らないわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ