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#015「日付変更」

@御影の文化住宅

アツコ「お腹の中のものを吐き出して、スッキリしたかしら?」

イヅミ「少し、楽になりました。ごめんなさい。お見苦しい姿を晒してしまって」

アツコ「うぅん、気にしないで。酔っ払いの扱いには慣れてるの。はい、お水」

イヅミ「ありがとうございます。今日は、いつも以上に酔いが回るのが早かった」

アツコ「お疲れなんでしょう。方々歩き回ったし、慣れないこともしたし。ジャケットはハンガーに、荷物は玄関脇に、脱がせたシャツと外したベルトは座布団の上にあるから」

イヅミ「すみません。何から何まで」

アツコ「良いのよ。悪いのは、調子に乗って次から次へ注文した二人なんだから。なっちゃんには、わたしからキツく言って聞かせるわ。だから、尾崎さんにもガツンと言ってやりなさい」

イヅミ「そうします」

アツコ「きっとよ。必ず言いなさいね。――あら。もう、一時を回ってる」

イヅミ「終電は出発してしまったでしょうね。もう一度、タクシーを呼びましょう。えぇっと、上着のポケットに」

アツコ、立ち上がろうとするイヅミを押さえる。

アツコ「わたしのことは心配いらないから、横になって、お休みなさい」

イヅミ「ウゥ。面目ない気持ちでいっぱいです」

アツコ「何も考えずに、楽にして寝なきゃ駄目よ。良いわね?」

イヅミ「はい。それでは、寝ますね。オヤスミナサイ、敦子さん」

  *

アツコ「(ちゃんと寝たかしら?) 和泉さん?」

イヅミ「スゥ、スゥ」

アツコ「眠ったみたいね。寝付きが良くて結構だわ。それにしても、三十路の男性とは思えない安らかな寝顔ね。……ちょっと突いてみよう」

アツコ、イヅミの頬を指でつつく。

イヅミ「ムッ。ウゥン」

アツコ「ハウッ。(何、この羽二重餅並みの柔らかさは。小学生レベルじゃないの。)ケシカラン。実にケシカランぞ、各務和泉よ」

イヅミ「ンンッ。ん? んんん」

アツコ「(あら、いけない。起こすところだったわ。)熟睡姿を見てたら、わたしも眠くなってきちゃったな。ハァ」

  *

イヅミ「起きたときは驚きましたよ。横に敦子さんが寝てるんですからね。とっくに帰ったものだとばかり思っていたのに」

アツコ「悪いわね、ズルズル居座っちゃって。でも、何もしてないから、安心してちょうだい」

イヅミ「そういうことは、普通は男性側が言う台詞ですよ。――あり合わせの物で作るので、どれも六十点くらいの出来になるけど良いですか?」

アツコ「朝食を作るつもりなの? そこまでしてもらわなくても」

イヅミ「遠慮なさらずに。昨日のお礼ですから。それに、大したものは作れませんし」

アツコ「そう。何か手伝えることはあるかしら?」

イヅミ、立ち上がろうとするアツコを押さえる。

イヅミ「座っていてください。一人で出来ますから」

アツコ「そう? それじゃあ、お任せするわね」


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