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新桃太郎  作者: 愚者x2
14/22

話其の拾肆/お互い様の渡りに舟

途中で雉が合流した桃太郎とご一行は、

海岸線までやって来ていた。

海を隔てたちょっと先に鬼ヶ島が見える。

「舟を探さなきゃならないな」

犬が言った。

「俺がちょいと探してみるよ」

雉がそう言って飛び立った。

そして、上空から雉が周囲を見回した。

暫くしてから、雉が戻って来る。

「すぐ近くには舟らしきものは見当たらなかったな~」

「こっちから鬼ヶ島に渡る舟はないはず」

猿が、さも当然かのように言った。

「何で?」

桃太郎が猿に訊く。

「鬼ヶ島に人間はいない。

だから、人間がわざわざ鬼ヶ島へ行こうとはしない」

「言われてみると尤もだな」

犬が猿の言葉を認めた。

「じゃあ、どうすればいいの?」

桃太郎が皆に訊く。

「俺は飛んで行けるけどな~」

雉が言った。

「泳いで行くか、干潮を待って歩いて行くか」

犬が言った。

「向こうから鬼が来るのを待って、その舟に乗せてもらうか」

猿が言った。

「そっか~。干潮はまだまだみたいだしね~」

桃太郎が言った。

「向こうから、舟が来てるみたいだけど」

雉が鬼ヶ島の方を右羽で指し言った。

「調度、良かった~」

桃太郎は海の方を向き、舟を確認して胸を撫で下ろした。

一行は舟が到着するのを待つ。

舟には五人の鬼が乗っていた。

「皆さん、これから何処へ行くの?」

桃太郎が鬼達に声を掛ける。

「何だ!?お前は。何処の鬼だ?」

「俺達は、これから人間を懲らしめに行くところだよ」

五人の内、二人が桃太郎の声に応え、通りすぎる。

「ちょっと待って貰えませんか?」

桃太郎が鬼達を引き留める。

「俺達に何か用があるのか?」

「お前、菊どんにそっくりだな~」

「行方不明になった菊どんの子供じゃないのか!?」

残りの三人が桃太郎に寄って来た。

「きっとそうだよ!」

「菊どんと桜ちゃん、喜ぶぞ~」

さっき桃太郎の声に応えてくれた二人も戻って来て、

桃太郎達は鬼達に囲まれた。

「菊どんのところに帰って来たのか?」

一人の鬼が桃太郎に訊いてきた。

「いや、俺は峠向こうの村で人間に育てられたんだけど」

桃太郎が答えた。

「そっか、そっか。そりゃ覚えてないよな。

保育器に入ったまま行方不明になったんだから」

別の鬼が言った。

「それで、その動物達は?」

また、別の鬼が訊いてきた。

「友達です」

桃太郎が答えた。

「それで俺達に何の用?」

先程、用件を訊いてきた鬼が再び訊いてきた。

「皆さんも含めて鬼ヶ島の鬼達とお話したい事があって

やって来たんだけど、舟が無くて思案してたところです」

桃太郎が事情を言った。

「そういう事なら、こちらも調度良かった。

もう人間の相手なんかしてる場合じゃない。

早く菊どんのところへ、お前を連れて行ってやろう」

一番、体の大きな鬼がそう言った。

「いや~、めでたい、めでたい」

「今日は美味い酒が飲めそうだ」

「早く菊どんと桜ちゃんの喜ぶ顔が見たいもんじゃ」

「さぁ、乗った、乗った」

桃太郎は一人の鬼に促された。

「友達も一緒にいいですか?」

桃太郎が誰ともなく鬼達に訊いた。

「構わん、構わん」

一番、体の大きな鬼が応えた。

すでに鬼達は皆、舟に乗り込んでいた。

そして、桃太郎、犬、猿の順に舟に乗り込む。

「俺は飛んで行くよ」

雉はそう言って飛び立った。

「それじゃ、出るぞ~」

一番、体の大きな鬼が声を上げた。

鬼達と桃太郎ご一行を乗せた舟が鬼ヶ島へ向かう。

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