表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新桃太郎  作者: 愚者x2
13/22

話其の拾参/似た者同士!?

桃太郎と犬と猿が鬼ヶ島へ向かって歩いている。

「しかし、何で急に謝る気になったんだ?」

犬が猿に訊いた。

「俺は、その鬼の顔を立てただけだ」

猿はぶっきらぼうに、そう答えた。

「どういう事なんだ?」

犬は猿の真意を量りかねる。

「その鬼が共に行く事を望んだから、

貸りのある俺が、その鬼の顔を立てた」

猿はずっとぶっきらぼうだ。

「なるほどね」

犬も納得出来たようである。

「だから、俺がお前を気に入らない事は変わっちゃいない。

気安く話掛けるのは止めて欲しい」

猿は犬を突き放すように言った。

「判った、判った。

何だか、好い奴なのか嫌な奴なのか、よく判らん奴だな」

犬は苦笑しながら言った。

「ふふふ」

桃太郎が小さく笑った。

「何が可笑しい?」

「何が可笑しい?」

犬と猿が同時に桃太郎に訊いた。

そして、犬と猿がお互いの顔を見合わせる。

「ははは」

それを見た桃太郎が、今度は大きく笑った。

犬と猿は気まずそうに、互いにそっぽを向く。

「あはは」

桃太郎は更に大きく笑った。

「いつまで笑ってるんだよ」

犬が桃太郎に声を掛ける。

「ごめんごめん。なんか、結局は、

世の中そんなに悪い奴はいないのかなぁって思ってね」

「何を言ってるんだ?」

猿は桃太郎の言ってる事が理解出来なかった。

「だから、鬼達もそんなに悪い奴ではないんじゃないかって」

桃太郎は、そう答えたが、

猿は桃太郎が何故笑っていたのかが疑問だった。

「悪いのは人間の方だろう?」

犬は桃太郎の言葉の方に関心が移っているようだ。

「いや、人間もそんなに悪い奴ばかりじゃないよ」

桃太郎が犬の疑問を否定した。

「お前、人間の恐ろしさを知らないんじゃないのか?」

猿も桃太郎の言葉の方に話を合わせた。

「あはは」

桃太郎は再び、大きく笑った。

「さっきから、何がそんなに可笑しいんだ?」

猿にも再び、先程の疑問が蘇った。

「だって、お前達、いがみ合いながらも、

俺に対しては似た様な事を言ってくるじゃん」

桃太郎はまだ、笑いが収まらないようだった。

犬と猿は桃太郎の言葉を聞き、再び互いに顔を見合わせた。

そして、すぐに互いにそっぽを向く。

それを見た桃太郎が再び、大きく笑う。

犬と猿は何も言えなくなってしまう。

そして、笑い終えた桃太郎が話し始める。

「とにかく、人間もそんなに悪い奴ばかりじゃない。

それをお前達だけじゃなく、

鬼ヶ島の鬼達にも解ってもらいたい」

そうして、桃太郎と犬と猿は鬼ヶ島への旅を続ける。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ