セーフティーエリア
意識を取り戻した俺は、何故此所にいるか考えを巡らせていた。
『やっぱあの時のノイズ音だよな〜。しかも、腕装備が無くなっているから、さっきの兎にキルされたんだよな、一撃で。』
そうプレイヤーが死ぬと、装備の一部とアイテムの半分、そして所持金の半分を失うのだ。そして、拠点としている町まで戻される。俗に言う、死に戻りというやつである。ちなみに、プレイヤーが殺される事をキルされるという。
しかし問題なのは、ログインしたら必ず始まりの町に飛ばされるはずなのに、俺は始まりの町に飛ばされずこの森みたいな場所に飛ばされた事と、ログアウトが出来ない事である。
『色々と積んでいるな俺。此所がダンジョンでなけばとりあえず、セーフティーエリアを探そう。』
セーフティーエリアとは、モンスターの入って来れない空間であり、プレイヤー達の休憩場所として使われている。今いる森のような場所では、洞窟や小屋がセーフティーエリアとなっている。
隠密を使いながら森を進んで行くと木の影から、二メートル五十センチ程の大きな、蟷螂がでてきた。身体の色は緑であるが、蟷螂の持つ鎌の色が黒く染まり刃の部分は血の様に真っ赤だった。
慌てて鑑定を使ってモンスターを観る。鑑定には、アイテムだけでなくモンスターの事まで詳しく観れるのだが。
『名前すら観れないってどういう事だよ。普通なら、鑑定無しでも相手の体力や名前は見れるぞ。』
あの蟷螂を鑑定で観ても、全て〈⁇⁇〉になってしまう。見つかったら確実に、ころされる。隠密を最大限発動(スキルレベルに、隠密度が左右されるから出来ないが、気分の問題である。)し蟷螂の死角になる様に木の陰に隠れた。蟷螂の足音が、えらく長く聞こえだんだん足音が小さくなってから俺は、緊張を解いた。
『ふ〜心臓に悪い、隠密様々だな。早くセーフティーエリアを見つけないとな。』
森を歩いて1時間、遂にセーフティーエリアを見つけた。それは、小さな小屋だった。
ちなみに、小屋を見つけるまでの1時間で既に四回キルされました。最初のあれは、運が良かっただけだったみたいだ。
そのせいで、俺の持っているアイテムは0所持金は31ゴールド、装備は足と武器である短剣のナイフだけだ。はあ、と溜息を吐きながら小屋に入った。
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