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第四節 仰せのままに
『……お前は任務を忘れているのではないか?
娘の心を揺さぶるのは手段であって目的ではない。家の奥へ踏み込め』
『報告が甘い。娘の心など守る必要はない。利用しろ。――家を崩すためにだ』
『まさか、女に惚れたわけではあるまいな?
王国一の諜報組織、その中でも抜きん出た諜報員がか。は、聞いて呆れるな』
『失望させるなよ。
お前には、特に期待していたのだ。』
『わからないのか?
今、お前が“何をすべきか”。――答えろ』
「心得ております。
私がすべきは、ロシュフォール家崩壊のために
娘に近づき、情報を奪うこと。
――どんな手でも使います。
すべては、ヴァルメーニュ家当主様の仰せのままに」




