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第九章:旅立ちの提案

15歳の誕生日を間近に控えた夜、リオンはアッシュとアリサに呼び出された。いつものように、温かい夕食の後、三人は居間に集まっていた。しかし、その場の空気は、いつもとは少し違っていた。アッシュの顔には、真剣な表情が浮かび、アリサもまた、リオンを慈しむような、しかしどこか決意を秘めた眼差しで彼を見つめている。


「リオン」


アッシュが、静かに口を開いた。その声には、いつもの厳しさとは違う、深い愛情が滲んでいる。


「お前は、賢い子だ。俺とお前、そしてアリサの間に、血の繋がりがないことは、お前も薄々気づいているだろう」


リオンは、アッシュの言葉に、息を呑んだ。その言葉は、リオンが心の奥底で漠然と感じていたことを、はっきりと突きつけた。しかし、アッシュの次の言葉は、リオンの不安を打ち消した。


「まあ、それでも、俺たちはお前を、この子として育ててきた。それは、揺るぎない事実だ。お前は、俺たちの子だ」


アッシュは、リオンの肩にそっと手を置いた。その手は、温かく、力強かった。


「そして、ここからが提案なんだが、リオン。お前、冒険者になって、この大陸を旅してみないか?」


アッシュの言葉に、リオンは驚きを隠せない。冒険者、大陸を旅する?


「お前には、このままこの辺境に留まっているのが、もったいない気がしてな。お前の中には、俺たちとは違う、特別な力が眠っている。それを、この土地だけで埋もれさせておくのは、あまりにも惜しい」


アッシュは、リオンの目をまっすぐに見つめた。


「取りあえず、隣の国にいる、マーリンという爺さんを訪ねてみるのはどうだろう。アリサの魔法の先生だった、偏屈なじじいだが、気に入られれば、大魔法を教えてくれるかもしれないぞ」


アリサが、静かに頷いた。


「マーリン様なら、きっとリオンの力を、正しく導いてくださるはずよ」


「その気になったら、教えてくれ。もちろん、このままずっと、俺たちの元にいてもいいんだ。お前が、この家で、家族と共に過ごしたいなら、それでいい」


アッシュは、リオンに選択肢を与えた。しかし、その声には、リオンの可能性を信じ、外の世界へ送り出したいという強い願いが込められていた。


「だが、もし旅をすると決めたとしても、忘れるな。どこへ行こうと、最後には、この家に帰ってこなくちゃならないんだぞ。ここは、お前の、いつでも帰ってこれる場所なんだからな」


アリサが、リオンの手に、そっと自分の手を重ねた。


「そうよ、リオン。どんな旅をしても、どんな経験をしても、あなたは、私たちの、大切な、かけがえのない子供よ。ここは、いつでもあなたの帰る場所だから」


リオンは、アッシュとアリサの言葉を、静かに、しかし深く胸に刻み込んだ。夢で見た、二つの対照的な世界。そして、目の前に示された、新たな道。リオンの心の中で、何かが、静かに動き始めていた。


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