第二十章:水の浄化、思わぬ発見
エリシアの店での仕事は、リオンにとって、単なる素材採取やポーション作成に留まらなかった。彼は、常に、より効率的に、そして、より質の高い仕事をする方法を模索していた。
特に、水の浄化は、ポーション作成の基盤となる重要な工程であり、リオンは、その効率化に興味を持っていた。
「どうすれば、一番短時間で、水をクリーンにできるだろう?」
リオンは、いつものように、カップに水を入れ、指先から魔力を注ぎ込む。しかし、今回は、いつもとは少し違う方法を試してみようと思った。
「人差し指の先端から、細い線を勢いよく出したら、どうなるだろう?」
リオンは、そう考え、魔力を指先に集中させた。そして、まるで細い針のように、魔力の線を勢いよく、カップの底へと向かって放った。
「…っ!」
しかし、予想外のことが起こった。魔力の線は、カップの底に到達する前に、その勢いを失った。そして、リオンの指先から放たれた魔力の奔流は、カップの底に、微かな傷をつけてしまったのだ。
「しまった…!」
リオンは、慌てて指先から魔力を引いた。カップの底には、確かに、細い傷が残っている。魔力を、細い線状に集中させることはできたが、それは、対象物を傷つけるほどの威力を持ってしまっていた。
「これでは、だめだ…」
リオンは、自分の試みが、逆効果になってしまったことに、落胆した。しかし、すぐに、彼は別の可能性に思い至った。
「もし、魔力を、細い線ではなく、もっと広範囲に、手のひらから、ドバっと出したら、どうなるだろう?」
リオンは、そう考え、今度は、魔力を手のひらに集め始めた。そして、カップの水全体に、魔力の奔流を、優しく、しかし力強く注ぎ込んだ。
「…!」
すると、どうだろう。水は、以前よりも遥かに速く、そして、より深く、浄化されていった。まるで、水全体が、一瞬で、清らかな光に包まれたかのようだ。
「すごい…!」
リオンは、その効果に、目を見張った。細い線状に集中させるよりも、手のひらから広範囲に魔力を放出する方が、水の浄化には、遥かに効率的だったのだ。
「やはり、やり方次第なんだな」
リオンは、自分の発見に、満足げに頷いた。この方法なら、水の浄化にかかる時間を、大幅に短縮できる。それは、ポーション作成の効率化に繋がり、ひいては、エリシアの店の、さらなる発展にも貢献できるだろう。
リオンは、この発見を、エリシアに報告しようと考えた。そして、手刀で風の刃を出す訓練とは別に、この「手のひらからの魔力放出」による水の浄化も、彼の修行の一つとして、取り入れていくことを決めた。一つ一つの経験が、リオンを、より強く、より賢く、成長させていく。




