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第十六章:告白と新たな道

リオンは、エリシアの真剣な眼差しを受け、ゆっくりと口を開いた。これまで、誰にも話したことのない、自身の内にある秘密。しかし、この薬師ならば、きっと理解してくれるだろうという、不思議な信頼感が、リオンの心を後押ししていた。


「はい。本当のことを話します」


リオンは、まず、アッシュとアリサとの約束について語り始めた。


「父さんと母さんとは、僕が15歳になったら、冒険者として、この大陸を旅して、自分の力で成長してくるように、と約束しました。そして、いつか、故郷に帰ってくる、と」


リオンは、アッシュから受け取った剣、そしてアリサから受け取ったペンダントに、そっと手を触れた。


「そのために、父さんには、剣術を習いました。そして、母さんからは、魔法の基礎を教わりました」


リオンは、夜の訓練で魔力を感じ、そして、傷んだ薬草を癒した時のことを思い出した。


「薬草に、あの魔力の光を注いだのは…母さんから教わった、自分の中にある魔力を使ったんです。薬草が、本来、元気だった頃の姿に戻るように、と願いながら、魔力を注ぎました」


リオンは、エリシアの反応を伺った。彼女は、リオンの言葉を、静かに、しかし真剣に聞いていた。その表情からは、驚きや戸惑いよりも、深い興味と、そして、リオンの力に対する理解が感じられた。


「なるほど…」


エリシアは、リオンの告白に、静かに頷いた。


「君は、まだ15歳だ。確かに、そのまま旅に出るには、まだ経験が足りない。この領都で、もう少し、冒険者としての基礎を学ぶ必要があるだろう」


エリシアは、リオンの顔をじっと見つめた。


「君の力は、確かにすごい。だが、その力を、どう活かすか、どう制御するか。そのためには、もっと多くの知識と、経験が必要だ。私も、君の力に興味がある。もしよければ、私の店で、しばらくの間、薬草の調合や、魔法の訓練を手伝わないかい?」


エリシアの提案は、リオンにとって、まさに望んでいたことだった。


「はい!ぜひ、そうさせてください!」


リオンは、迷わず、エリシアの提案を受け入れた。領都で、基礎を学び、さらに力をつけ、そして、いつか両親との約束を果たす。リオンの胸には、新たな目標が、はっきりと見えていた。エリシアの店で働くことは、彼にとって、冒険者としての第一歩であり、そして、自身の隠された力に、より深く向き合うための、貴重な機会となるだろう。


エリシアの店で働くことになったリオンは、ギルドの宿に一か月間滞在することになった。この一か月は、リオンにとって、冒険者としての基礎を築くための、貴重な期間となるはずだった。


相部屋のバルドとカイルは、リオンの決意を、意外にも温かく受け入れてくれた。


「ほう、薬師さんの店で働くのか。いいじゃねえか」


バルドは、豪快に笑った。


「まあ、俺たちも、最初はそんなもんだ。ギルドの仕事に慣れるまでは、色々と手伝ってもらうことになるだろうが、遠慮はいらねえぞ」


カイルも、ナイフを磨きながら、短く言った。


「俺たちも、しばらくはここで仕事をする。何かあったら、いつでも声をかけろ」


リオンは、二人の言葉に、心強く感じた。


この一か月間、リオンは、バルドとカイルと共に、臨時パーティーを組んで、何度かゴブリン討伐に向かった。Eランクの冒険者にとって、ゴブリン討伐は、定番の仕事の一つだった。


初めて、バルドとカイルと共にゴブリンの巣穴へと向かった日のことを、リオンは鮮明に覚えていた。


「よし、行くぞ!」


バルドが、先頭を切って歩き出す。彼の腰には、太い剣が吊るされている。カイルは、リオンの隣を歩きながら、周囲の様子を注意深く観察している。リオンは、父からもらった剣を腰に、アリサからもらったペンダントを首に、そして、エリシアから渡された、薬草の知識が詰まった書物を片手に、二人の後を追った。


ゴブリンの巣穴は、領都から少し離れた、鬱蒼とした森の奥にあった。獣の臭いと、湿った土の匂いが混じり合い、不快な空気が漂っている。


「 臭いがひでえな」


バルドが、鼻をしかめた。


「慎重に行けよ。数が多いかもしれねえ」


カイルが、周囲に注意を促した。


リオン一人であれば、ゴブリン二体くらいは、剣と、そして僅かな魔力で、なんとか対処できた。しかし、三体以上となると、途端に苦しくなった。相手の攻撃を捌ききれず、体力が急速に削られていく。


だが、バルドとカイルが加わると、状況は一変した。


「俺が、前衛だ!リオン、カイル、援護しろ!」


バルドが、雄叫びを上げ、ゴブリンの群れに突撃した。彼の剣は、風のように鋭く、ゴブリンたちの攻撃を次々と弾き、そして、その巨体で、敵の注意を引きつけていた。


「リオン、右だ!」


カイルの声が響く。リオンが視線を右に向けると、一体のゴブリンが、リオンに斬りかかろうとしていた。リオンは、咄嗟に父から教わった剣技を繰り出し、ゴブリンの剣を弾いた。


「その調子だ!」


カイルが、リオンの隙を突き、素早くゴブリンの背後に回り込み、ナイフで仕留めた。


「俺は、後衛だ。リオン、お前は、俺の死角をカバーしろ」


バルドが、ゴブリンの群れを相手に奮闘しながら、カイルに指示を出す。カイルは、バルドの死角に忍び寄るゴブリンを、的確なナイフ捌きで次々と倒していく。


リオンは、バルドが敵の注意を引きつけている間に、カイルが仕留めきれなかったゴブリンを、剣で仕留めた。そして、カイルがカバーしきれなかった、バルドの背後からの攻撃を、魔力で僅かに加速させた剣で、寸前で防いだ。


「やるじゃねえか、リオン!」


バルドが、ゴブリンを一体倒すたびに、リオンに声をかけた。


「その調子だ!俺たちの連携は、最強だ!」


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