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第十四章:薬師エリシア、そして新たな依頼

リオンは、深呼吸をし、薬師エリシアの店の扉を開けた。


扉を開けると、むあっとした、様々な薬品の匂いが鼻腔をくすぐる。漢方薬のような、甘く、それでいて少し刺激的な香り。店内は、薄暗く、棚には、見たこともないような瓶や袋が整然と並べられている。


「誰もいないのだろうか…」


リオンは、少しおずおずと声をかけた。


「あの…いらっしゃいませ」


その声に応えるように、店の奥から、フードを深くかぶった高齢の女性が姿を現した。その顔は、フードの影になってよく見えないが、その佇まいからは、長年の経験に裏打ちされた、揺るぎない気配が感じられた。


「何か用かい」


女性の声は、低く、しかし澄んでいた。


「あ、あの、ギルドから、薬草を納品するようにと言われて、持ってきました」


リオンは、袋に入った薬草を差し出しながら、緊張した面持ちで言った。


その言葉を聞いた瞬間、フードの影から、女性の目が、鋭くリオンに向けられた。そして、信じられないほどの速さで、彼女はリオンの元へと駆け寄ってきた。その動きには、年齢を感じさせない、敏捷さがあった。


「ほう…」


女性は、リオンから薬草の袋を受け取ると、その中身を素早く確認した。指先で葉の質感を確認し、鼻を近づけて香りを嗅ぐ。その一つ一つの動作が、驚くほど正確で、的確だった。


「…ふむ。これは…」


女性は、しばらく薬草を吟味していたが、やがて、満足そうに頷いた。


「なるほど。確かに、これは良い薬草だ。お前が、あのEランクの依頼で、これだけの品質のものを集められるとはな」


彼女は、リオンの顔をじっと見つめた。フードの影から覗く瞳は、鋭く、しかし、どこか温かさを帯びているようだった。


「指名依頼書にサインをして、報酬を渡そう」


女性は、そう言うと、カウンターへと戻り、一枚の依頼書にサインをした。そして、リオンに、いつものEランクの報酬よりも、はるかに多くの金貨を渡した。


「ありがとう、薬師様」


リオンは、感謝の言葉を述べる。


「礼には及ばん。むしろ、感謝するのはこちらだ」


女性は、リオンに、さらに指示を出した。


「ギルドに、この依頼書を提出して、戻ってきなさい。それで、正式に依頼完了となる。そして、また、私の店に来なさい。お前のような、腕の良い薬草師は、そうそういない」


リオンは、女性の言葉に、改めて驚いた。薬草師、と彼女は言った。そして、また来るように、と。


「はい。すぐに戻ります」


リオンは、報酬の金貨をしっかりと握りしめ、依頼書を持って、薬師エリシアの店を後にした。ギルドへと戻る道すがら、リオンの胸には、新たな期待と、そして、自分がこの世界で、少しずつ、しかし確かに、自分の居場所を見つけ始めているという、確かな実感があった。


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