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第十一章:領都への道、冒険者として

リオンは、アッシュとアリサに別れを告げ、東へと歩き出した。背後には、見慣れた村の風景が広がり、その向こうには、彼が生まれ育った家がある。しかし、リオンの視線は、既に、遠くに見える領都の街並みに向けられていた。


「まずは、領都へ行くんだな」


アッシュが、旅立つ前にそう言っていた。


「旅には、失敗を防ぐための、いくつかの手順がある。まずは、冒険者登録をすることだ。そこで、身分証明書を得る。それが、お前の、この世界での第一歩になる」


アッシュの言葉が、リオンの胸に蘇る。


「そして、冒険者として活動し、金を稼ぐ方法を覚えること。そのためには、信頼できる旅の仲間を見つけることも大切だ。それができてから、マーリンのところへ行くんだ」


アッシュは、リオンに、焦る必要はないと言った。


「何年かかろうとかまわない。途中でやめて、家に帰ってきてもいい。だが、一度決めたなら、最後までやり遂げる覚悟で臨むんだ」


リオンは、アッシュの剣を腰に、アリサのペンダントを首に、しっかりと身につけていた。その重みが、彼の決意を後押しする。


領都までの道のりは、予想以上に長かった。しかし、リオンの足取りは、決して重くはなかった。剣を振るうことで培われた体力、そして、夜の訓練で得た魔力の感覚。それらが、彼の旅を支えていた。道中、村々を通り過ぎ、時には森を抜け、野宿をすることもあった。しかし、リオンは、アッシュとアリサに教えられた、基本的なサバイバル術と、そして、夜に感じる魔力の感覚を頼りに、無事に旅を続けることができた。


数日後、ついに領都の城壁が見えてきた。高くそびえる石壁、そして、その向こうから聞こえてくる、賑やかな人々の声。それは、リオンが夢で見た、あの都市の光景とは異なる、しかし、力強く、活気にあふれた場所だった。


領都のギルドに足を踏み入れると、そこは、様々な人々で賑わっていた。屈強な戦士、ローブを纏った魔法使い、そして、軽装の盗賊のような者たち。彼らが、依頼の掲示板を眺めたり、酒場で談笑したりしている。


リオンは、少し緊張しながらも、受付の女性に声をかけた。


「あの、冒険者登録をしたいのですが」


受付の女性は、リオンの若さに少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔で対応してくれた。


「あら、若いのに立派ね。こちらへどうぞ」


リオンは、言われた通りに手続きを進めた。身分を証明する書類は、アッシュが事前に用意してくれていた。そして、簡単な試験を受け、リオンは、正式に冒険者として登録された。手渡されたのは、一枚のカード。そこには、「リオン」という名前と、冒険者ランク「E」の文字が記されていた。


「これで、私も冒険者か…」


リオンは、カードを手に、静かに呟いた。それは、父の教えに従い、彼が歩み始めた、新たな人生の第一歩だった。これから、ここで金を稼ぎ、仲間を見つけ、そして、マーリンのもとへ向かう。リオンの胸には、期待と、そして、かすかな覚悟が芽生えていた.


冒険者登録のカードを手に、リオンは受付の女性の説明に耳を傾けた。


「冒険者になったばかりの未成年の方には、ギルドの宿に一か月間、格安で泊まれる特典があるのよ。四人部屋だけどね」


ギルドの宿。それは、旅の拠点となる場所だろう。リオンは、アッシュから旅の金銭についても教わっていた。


「どうする?泊まることにする?」受付の女性は、親切そうに尋ねた。


「1泊4鉄貨よ。薬草二株がちょうど4鉄貨くらいだから、まあ、新人にはありがたい値段だと思うわ。朝晩の食事も、量は少ないけど出るから、新人はみんな利用するのよ」


リオンは、迷わず頷いた。


「お願いします。泊まらせてください」


「あら、ありがとう。じゃあ、そのカードをギルド長に見せて、手続きしてちょうだい」


女性は、リオンのカードを指差しながら、さらに続けた。


「それから、仕事はあそこの茶色のボードに張ってあるわ。あそこがEランクの新人冒険者用よ。色々あるけど、リオン君、初めてだから、まずは薬草採取にしなさい」


女性は、掲示板の一番下にある、一枚の依頼書を指差した。


「北の門を出て、少し歩いたところの林に入れば、二、三時間で薬草が四株くらいなら見つかるはずよ。抜いたら、根は一本だけ、そこに埋め直してね。そうすれば、またそこから生えてくるから」


女性は、薬草の採取方法についても、丁寧に説明してくれた。


「あと、大事なこと。薬草は、15センチ以上ないと買い取らないから、気をつけてね」


リオンは、女性の説明を一つ一つ、心に刻み込んだ。冒険者としての第一歩。それは、まず、このギルドの宿に身を寄せ、そして、簡単な仕事で経験を積むことから始まるのだ。


「ありがとうございます。いろいろと」


リオンは、女性に深く頭を下げた。彼女の親切な説明が、不安な気持ちを和らげてくれた。


「いいのよ。みんな最初はそうなんだから。頑張ってね!」


女性は、リオンに笑顔を向けた。


リオンは、ギルド長にカードを提示し、宿の手続きを済ませた。四人部屋とのことだが、まずは寝床が確保されたことに安堵した。そして、早速、薬草採取の依頼書を手に取った。北の門、林、薬草。それは、彼がこれから経験していく、数々の仕事の、最初の一歩となるだろう。リオンは、胸に秘めた決意を新たに、領都の喧騒の中へと、一歩を踏み出した。



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