表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クリカゲ  作者: 栢瀬 柚花
86/106

メトロノーム

――数時間前――

 

 最近、近所の子とよく遊ぶ。

 同じ小学校に通っている女の子。陽咲と言った。

 幼稚園が違い、今まで一緒のクラスになったことはない。でも、運動会で同じダンスの班になってから仲良くなった。

 男の子はサッカーがしたかったが、陽咲は一輪車に乗りたがった。少し喧嘩したが、時間を半分こにして、それぞれがやりたい遊びをしよう、と高校生のお兄ちゃんに言われたので、そうやって遊んだ。

 一輪車は乗ったことが無かったが、やってみると難しく、夢中になって練習していた。サッカーのことも忘れていた。

 高校生のお兄ちゃんは教えるのが上手で、数日練習をしたら手放しで乗れるようになった。

「凄いなぁ。運動神経がいいぞ」

 と褒めてくれ、嬉しかった。

 サッカーにも生かせるか聞いてみたら、

「勿論!色んなスポーツをするのはいい事だぞ?意外なことがサッカーにも活かせるかもしれんから、どんどんチャレンジしていけ」

と言われた。

 

 それから、他の遊びも始める前から嫌がらずに、やってみることにした。

 楽しことは色々あんだなと男の子は思って、今までしたことがない遊びに手を付けだした。 

 すると友達が増えて、遊びに誘われることが増えた。学校から帰ったら、毎日のように誰かの家に行った。

 

 その事をお兄ちゃんに伝えると

「良かったな」

 と頭を撫でてくれた。

 お父さんからあんまりされた事がなかったので、少し驚いたが、嬉しかった。


 お兄ちゃんは時々、お姉ちゃんを連れてきた。

 三学期に入ると、お兄ちゃんとお姉ちゃんはよく一緒にいるようになった。

 二学期までは本当にたまにしか見かけなかったお姉ちゃんは、お兄ちゃんと話していると楽しそうだった。

「仲がいいの?」

 とお姉ちゃんに聞いたら、「そうだよ」と教えてくれた。

 あとで陽咲から、

「あの二人は付き合ってるから、邪魔しちゃいけないんだよ」

 と言われた。

 何となく意味が分かったので、お兄ちゃんとお姉ちゃんが話している時は、邪魔にならないよう声をかけないようにした。


 

 さっき、一緒に下校していた陽咲と別れた所だった。


 最近はお兄ちゃんもお姉ちゃんも、あまり二人と遊ばなくなっていた。やることがあって、忙しいらしい。

 高校生だから、お勉強かなと思った。

 

 陽咲と別れてからの一人道は静かで、トボトボと歩いた。家まではそう遠くない。 

 今日は帰ったら何をしようかな、と考えていると、男の子の前を歩いているお姉ちゃんを見た。

 今日は一人で帰っている。

 お兄ちゃんの家は陽咲の家から近いから、今さよならをしたばかりなんだなと思った。


 久々に姿を見て嬉しくなり、声をかけようとした。

 すると、お姉ちゃんが首を左右に振り始めた。

 音楽でも聴いているのかな、と思った。

 最近は出かけた先でも、よく音楽を聴いている人を見かけるからだ。


 好きな曲でも聞いてるのか、楽しそうに首を振っている。

 何を聴いてるのか尋ねてみようと、近くに行った。

 しかし、だんだんとおかしな事に気がついた。


 首の動きがどんどんと大きくなる。

 音楽を着ているなら、耳に着けているイヤホンが取れてしまうんじゃないかという勢いになった。

 呆然と見ていると、お姉ちゃんの動きは更に激しくなった。

 頭が肩に付きそうなほど、大きく左右に揺れている。

 男の子は、音楽室で見たメトロノームを思い出した。

 このままでは首が折れるんじゃないかという心配と、意味が分からない行動への恐怖が重なった。

 男の子は思わず声を掛けた。

「あの、大丈夫ですか?」

 声をかけると、お姉ちゃんの首の動きは止まった。

 そして振り返ると、

「何が?」

 と聞かれた。

 気がついたいないんだ、と思った。

 分かると急に恐怖が大きくなって、思わず逃げるように走り出した。


 それ以降、あのお姉ちゃんには会っていない。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ