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【食品メーカー複数社監修】終焉の神ですが 今日も人の感情でお腹を満たす【もぐもぐ神™】  作者: 黒井津三木
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十八皿目『ミレたん、竜王の矜恃を問う』

ヴァルグレアが一歩踏み出す。


同時に──

ミレアの姿も消えた。


次の瞬間。



ガン!!



中央で空気が爆ぜる。


衝突。


見えない速度で突っ込んだ二つの影が、庭園の真ん中でぶつかり合った。


衝撃が地面を叩きつけ、石畳がめくれ上がる。

風圧が庭木を大きく揺らし、遠くの城壁まで低く震わせた。


しかし──


二人は止まらない。


そのまま互いの背後へ突き抜ける。

黒い影と金の影が、中央を横切り、逆方向へ流れた。

石畳を削りながら距離が開く。


一瞬の静止。


そして、再び。


二つの影が同時に踏み込んだ。


今度は斜め。

空中で交差する。



バキィン!!



鋭い衝突音が庭園に響いた。


二つの軌跡が、空に鋭い斜線を描く。

交差した衝撃が放射状に広がり、城の窓ガラスが連続して震えた。


ふたりの足が同時に地面へ降りる。

ヴァルグレアとミレアは、互いに背を向けたまま止まっていた。


風だけが庭園を通り抜ける。

砕けた石片が、遅れて転がった。


静寂。


その中でヴァルグレアの指が、ゆっくりと動く。


「……ほう」


低く漏れる声。


「なかなか動けるようだな」


ヴァルグレアの腕が持ち上がり、掌がミレアへ向いた。


空気が一気に引き寄せられる。


庭園の砂が滑り、草木が伏せる。

石畳の破片が宙へ浮き上がり、掌の中心へ吸い込まれていく。


そして、黄金の瞳が細くなる。


「消し飛べ」


次の瞬間。



ドォォン!!



白い灼熱砲の閃光が一直線に庭園を貫いた。


衝撃が地面を削り、石畳が吹き飛ぶ。

噴水が砕け、王城の壁が震える。


爆煙が庭園を覆い尽くした。


数秒。


煙がゆっくりと流れる。


その中心で──


「……んもぁ」


変な声が出た。

ミレアが煙の中で目をぱちぱちさせている。


顔の前を手でぱたぱたと払う。


「けぽ……煙い」


軽く咳き込む。

肩や髪に、粉塵がうっすら積もっていた。


しかし、それだけだった。


ヴァルグレアの瞳が止まる。

真正面から受けて、少女は──煙たがっているだけだった。


ミレアは首を傾げる。


「ちょっとびっくりしたわ」


そんな、なんてことないように言うと──

ヴァルグレアの黄金の瞳が、ゆっくりと見開かれた。


「……無傷……だと?」


信じられないものを見る目だった。


竜王の砲撃は、都市を焼き払う力だ。

城壁すら貫くはずの一撃。


あれを真正面から受けて──煙たいと文句を言っただけ。


ヴァルグレアの眉がわずかに動く。


「……ならば」


低く呟く。


「確かめるまでだ」


次の瞬間。


地面が弾け、ヴァルグレアの姿が消える。

同時に、ミレアの姿も消えた。



ダン!!



空中で衝撃が炸裂する。


庭園の上空に、二本の光が走った。

黄金と黒。

二つの軌跡が弧を描き、空を駆け抜ける。


衝突。



ダン!



離れ、再び衝突。



ダン! ダダダダン! !



衝突音が響き渡る。


空中で何度も山なりの軌跡を描きながら、二つの影が高速でぶつかり合う。

その度に衝撃が庭園を揺らし、石畳が割れ、木々が激しく揺れた。


やがて、二つの光が大きく離れる。


一瞬の静止。


そして──



ドォン!!



中央で再び激突した。


ヴァルグレアの拳が振り抜かれる。


一撃。

二撃。

三撃。


拳が嵐のように叩き込まれる。


空気が連続して爆ぜる。



ドドドドドドド!!



竜王の怒涛のラッシュ。


だが──すべて、ミレアの手で止められていた。


同じ速度。

同じ軌道。

同じタイミング。


拳を受け、流し、弾く。


ミレアが少し楽しそうに言う。


「ほらほら〜、こんなもんじゃないでしょ〜?」


ヴァルグレアの瞳がわずかに細くなる。


竜王の拳速。

それを完全に合わせている。


黄金の軌跡の隣で──

黒い影が、まるで同じ動きをなぞるように動いていた。


ヴァルグレアの眉がわずかに歪む。


「ちぃ……」


舌打ちが漏れた。


竜王の拳速。

そのすべてを、目の前の少女は合わせている。

まるで最初から軌道を知っているかのようだ。


(……ならば)


空気が変わる。


次の瞬間、黄金の軌跡が一気に加速した。



バン!!



衝撃が空を叩く。


ヴァルグレアの動きが、さらに速くなる。

空中を縦に、横に、斜めに。

変則的な軌道で飛び回りながら拳を叩き込む。



ドン!


ドン!


ドン!



衝撃が連続する。

庭園の上空で黄金の光が何度も弾ける。


だが──


ミレアは動かない。

紫の瞳だけが、ヴァルグレアを追っていた。


視線が動く。


上。


横。


背後。


そして、ミレアが目で追わなくなったその瞬間──

ヴァルグレアの姿が消える。


ミレアの死角。

背後。


拳が振りかぶられる。


「もらっ……たぁ!!」



ドォン!!



強烈な打撃が叩き込まれた。


拳がミレアの後頭部を捉え、下へ振り抜かれる。

衝撃が地面へ叩きつけられ、ミレアの身体が前へ倒れた。


そのまま──



ドガン!!



石畳が砕け、半身が地面へめり込む。


土煙が舞い上がった。


ヴァルグレアは後方へ飛び退き、距離を取る。

荒い息が漏れ、肩がわずかに上下した。


(……入った)


確実だった。


頭部を吹き飛ばすつもりで振り抜いた一撃。

そこまでいかなくとも──


(首は折れたな)


黄金の瞳が、土煙の中心を見据える。


人化した煌竜の肉体。

それは人の姿を取っていても、竜の本質を宿す。

どれほど肉体が損傷しようと、竜の姿へ戻り、再び人化すれば人体の損傷は修復される。


痛みや衝撃までは消えないが──恐怖を刻むには十分だ。


竜同士が人化で戦う理由。

それは殺し合いではない。

力を測るための、竜なりの試合形式だ。



その時──瓦礫がわずかに動く。


ミレアが、むくりと顔を上げた。


「……ぷぁ」


ゆっくりと立ち上がると、小石がぽろぽろと落ちる。

服についた砂をぱたぱたと払った。


ヴァルグレアの瞳が揺れる。


「……なぜだ」


低い声。


「なぜ立てる?」


沈黙。


「なぜ無傷なのだ」


黄金の瞳が鋭くなる。


「貴様は……何者だ」


一歩踏み出す。


「……なぜ、反撃してこない?」


問いが庭園に落ちる。


ミレアは振り返り、にこりと笑う。


「え?」


首を傾げる。


「反撃、して欲しかったんだ?」


ヴァルグレアの眉が動く。

ミレアは少し考えるように顎へ指を当てた。


「そっか。じゃあ……ほんのすこ〜しだけ、反撃するね♪」


パチンとウインクした、その瞬間──ミレアが消えた。


ヴァルグレアの瞳が見開かれる。


(速──)


思考が終わる前に、目の前にいた。


ゼロ距離。


ミレアの指先が、ヴァルグレアの腹部に軽く触れていた。


「ん」


小さな声。

指が拳になる。その僅かな隙間だけで、衝撃を与える。



ズシ。



凄まじい衝撃が爆発し、空気が悲鳴を上げる。

ソニックブームが庭園を裂いた。

衝撃はヴァルグレアの身体を貫き──背中から抜ける。



ゴォォォン!!



城壁が吹き飛んだ。


一枚。


二枚。


三枚。


城を囲う複数の壁が、大穴を開ける。


ヴァルグレアは吹き飛んではいない。

だが……身体が大きく揺れ、足が後ろへ下がる。


一歩二歩、三歩。


「……ぐっ」


血が口から溢れ、黄金の瞳が震える。

腹部の奥で、竜の核が軋む。


(なんだ、これは……)


ただの拳。ただの一撃。

拳から放たれる衝撃波、それだけで──


城壁に一直線の大穴。

その先の外壁、さらにその先の城郭。

すべてを貫いている。


ヴァルグレアは歯を食いしばる。

呼吸が荒い。


だが──膝は、折れない。


ミレアが首を傾げた。


「ん?」


少し不思議そうな顔。


「膝くらい着くと思ったのに」


その言葉に。

ヴァルグレアの黄金の瞳が、ゆっくりと細くなる。

血を吐きながら、笑った。


「……舐めるなよ」


低い声。

王の声だった。


「私は、竜王だ」


血が滴る。

それでも背は伸びたまま。


「誰かの目の前で──」


ゆっくりと言う。


「膝を折ることはない」


その言葉に──ミレアの目が、少しだけ変わる。


僅かな興味。


「……へぇ」


楽しそうに笑う。


「これが竜王、ね」


くすり、と喉の奥で笑う。

そして、首を傾げた。


「それってさ、王としての矜恃?」


問に、ヴァルグレアは血を拭いもせず、真っ直ぐに見据えた。


「当たり前だ」


一歩、前へ出る。

足元の石畳が軋む。


「国の象徴たる私が膝を折る。それが何を意味するか。

理解できぬほど、私は愚かではない」


低く言い切る。

ミレアはしばらくその顔を見つめていた。


「ふ〜ん?」


楽しそうに目を細める。


「それなら」


両手を後ろで組む。

まるで子供が面白い遊びを思いついた時のように、少し身を乗り出す。


「竜王の矜恃がどれほどのものか、確かめてあげる」


その笑顔は、あまりにも無邪気だった。


「竜に戻って、本気でやらないと」


ミレアは空をちらりと見上げ、にこりと笑った。


「こんなつまらない国は……」


肩をすくめる。


「潰しちゃうかも♪」


ヴァルグレアの表情が変わった。

黄金の瞳の奥で、怒りが燃え上がる。


「……なに?」


低い声。

だが、その中には明確な怒気が宿っていた。


ミレアは気にした様子もなく、周囲を見回す。

そして──


「あ」


指を伸ばした。


「嘘だと思うなら、この戦いを見守ってる城の人間」


指先が止まる。


「何人か()()()にしてみよっか?」


その先には──メイドがいた。


茶菓子を運び、戦闘の最中でも控えていた専属の付きメイド。

手には汗拭き用のタオル。

主君の戦いを見守りながら、いつでも動けるように待機している。

その表情は、困惑と不安だった。


ミレアの指先が、まっすぐ彼女を指す。


「例えばほら」


笑う。


「あそこでタオルを持ってるメイド」


その瞳は──冗談ではない。


「あの子から」


口元が歪む。

邪悪な笑み。


「肉団子にしてあげる」


空気が凍りついた。


ヴァルグレアの瞳が燃え上がる。


「貴様ァ……!」


怒りが爆発した。


「いいだろう。もはや手加減など必要ない」


次の瞬間、地面が震える。

ヴァルグレアの身体から、凄まじい魔力が噴き出した。


空気が唸る。

王城の窓ガラスが震える。


黄金の光が、身体の奥から溢れ出す。

骨が鳴り、筋肉が膨れ上がる。


背中が裂け、巨大な翼が突き破った。

白金の鱗が、光を反射して煌めく。


指が変形すると爪が伸びる。

脚が大地を踏み砕く。


そして。


咆哮。

空を震わせる竜の叫び。


光の中から現れたのは、白い鱗と金の甲殻を持つ巨竜。


竜王・ヴァルグレア。


その巨大な身体が、王城の庭園を見下ろす。

黄金の瞳が燃えている。


「その言葉」


低く唸る。


「撤回する機会はもうないぞ」


翼が広がり、突風が庭園を薙ぎ払う。


「我が国を愚弄したこと」


牙が覗く。


「今ここで後悔させてやる」


ミレアは、それを見上げていた。

楽しそうに。

そして、ぽつりと言う。


「……ふふっ、かわいい♪」


嬉しそうに笑う。


「それじゃあ……わたしも──」


その時、


空気が歪む。

ミレアの足元から、黒い魔力が静かに滲み出す。

地面の影が膨らみ、夜のような闇が庭園を侵食していく。


影が膨らみ、世界が軋む。

熱もない。風もない。


終焉の気配が、空を覆い始めた。


ミレアは、ゆっくりとヴァルグレアを見上げていた。

黄金の竜王が怒りを燃やし、翼を広げて空を覆っている。


ミレアが一歩前に出る。

その小さな身体が、ゆっくりと浮いた。


髪が揺れる。

瞳が細くなる。


一瞬の静寂が訪れ──直後、黒い影が爆発するように広がる。


轟音。


地面が沈む。


庭園の石畳が一斉に砕け、城壁が低く唸る。

王城の塔の窓が連続して割れた。


空に、巨大な闇が広がる。



翼。



それは翼だった。


山脈のように巨大な黒い翼が、夜空を押し広げていた。

星の光すら飲み込む漆黒の鱗。


その奥で、赤い光が灯る。



“焉龍”。



終焉の龍が姿を現す。


焉龍・エンノワール。

その巨体は、竜王・ヴァルグレアよりもさらに巨大だった。


黒い鱗の隙間から、溶岩のような赤い光が脈打つ。

長い尾が空を裂き、翼が一度羽ばたくだけで雲が消し飛ぶ。


そして。


焉龍の頭が、ゆっくりと傾く。


「……ん」


ミレアの声。

龍の口から、少女の声がこぼれる。


「久方ぶりに龍に戻ったわね」


竜王の瞳が細くなる。


(なんだこれは……なんだこの威圧感は……)


目の前の存在。

それは竜ではない。

竜という概念を、さらに踏み越えた何か。


だが。


竜王は退かない。

巨大な翼が広がる。

煌びやかな白金の鱗が夜空を照らす。


竜王が吼えた。

咆哮が空を震わせる。


焉龍は、楽しそうに首を傾げる。


「竜王の気位──」


翼がゆっくりと広がる。


「見せてごらんなさい」


そして──


二体の巨竜が同時に動いた。



ドォォン!!



衝突。


空気が爆発する。

巨大な体躯同士が空中でぶつかり合い、衝撃波が王都の上空へ広がった。


雲が吹き飛ぶ。

王城の塔が揺れる。


竜王の爪が振り下ろされる。


鋭い黄金の爪撃。

焉龍の翼がそれを受け止める。



キィィン!!



火花が夜空に散る。

竜王がそのまま体を捻り、尾を振り抜く。


轟音。


巨大な尾撃が焉龍の身体を叩く。


だが──黒い龍は、まったく動かない。


「お?」


軽い声。

焉龍の前脚がゆっくりと動く。


そして。


拳。


山のような黒い拳が振り抜かれる。



ボゴォォォン!!



竜王の身体が空中で弾かれ、大きく後退する。

翼を広げ、空中で体勢を立て直す。


黄金の瞳が燃えている。

竜王が再び突進した。


速度。


先ほどとは比べ物にならない。

白金の閃光が夜空を裂く。


そのまま焉龍の首元へ噛み付く。

牙が黒い鱗に突き立つ。



ギギギギッ!!



金属を削るような音。


だが──焉龍は笑っていた。


「あはは、わんぱくだね〜」


巨大な頭がゆっくりと動く。


「積極的なのはとても良いことね」


黒い翼が大きく広がる。

その一振りで、空気の壁が生まれる。


暴風。


竜王の身体が押し戻される。

しかし、竜王は止まらない。


翼を打つ。

再びの突進。


二体の巨竜が、空の中央で激突する。



ゴォォォン!!



衝撃が王都を揺らした。

城壁の旗が一斉になびき、塔の鐘が鳴り響く。


夜空の中央。


焉龍と竜王が絡み合う。


爪。


牙。


翼。


尾。


巨大な怪物同士の暴力が、空を引き裂いていく。


そして、焉龍の声が響いた。


「こんなものじゃないでしょう?」


焉龍の瞳が赤く光る。


「隙だらけ」


焉龍はその巨躯を捻る。

夜空を切り裂くように体をしならせ、勢いを乗せた尾が、巨大な鞭のように振り抜かれた。



ガァン!!



直撃。重い音が轟く。


竜王の身体が大きく弾かれる。

白金の鱗が割れ、甲殻がひしゃげる鈍い音が夜空に響いた。


だが、それでも竜王は落ちない。

巨大な翼を打ち、空中で体勢を立て直す。


そして即座に反撃。

喉の奥が輝く。


「──ッ!!」


咆哮と同時に、黄金の竜炎が吐き出された。

巨大な奔流が夜空を貫く。


しかし、焉龍はわずかに首を傾けただけだった。


「んー」


黒い喉が光る。


次の瞬間──黒炎が放たれる。


二つの竜息ブレスが空中で衝突した。


轟音。


炎と炎が噛み合う。

だが、拮抗はしない。


黒炎が、黄金の竜炎をあっという間に飲み込んでいく。


まるで闇が光を覆うように。


「……!」


竜王の瞳が細くなる。


──危険。


本能が叫ぶ。

次の瞬間、煌竜は翼を打ち、軌道を逸らした。


その直後、黒炎が通過する。



ゴォォォォ!!



地面へ直撃。

一瞬にして大地が溶ける。


岩が蒸発し、巨大な穴が王都郊外の大地に刻まれた。

竜王は空中でそれを見下ろす。


黄金の瞳が細くなる。


(……あの黒炎、当たれば即死だな)


竜へ戻った今でも──いや、竜へ戻ったからこそ。

理解できる。

目の前の存在は、


圧倒的脅威。


それも、先ほどより確実に増している。


竜王は空を旋回する。

思考が高速で巡る。


近接。


ダメージが通らない。


遠距離。


黒炎のリスクが高い。

なにより、この戦いは王都の真上だ。

被害が大きすぎる。


(……どうする)


その時だった。


焉龍が動いた。

巨大な黒翼が広がる。

夜空を押し上げるように高度を上げていく。


そのまま。

竜王国の真上へ。


黒い巨影が、王都の空を覆った。


竜王の瞳が動く。


焉龍の頭がゆっくりと下を向き、王都を見下ろす。

声が、夜空から落ちた。


「あなたが竜王だと言うなら──」


黒い前脚がゆっくりと持ち上がると、巨大な魔力が一点へ集まり始めた。


空気が震え、雲が逃げる。


闇の中心に、巨大な球体が生まれた。

終焉の魔力弾。


それひとつで、この王都を消し飛ばす威力は十分にある。


「見せてもらうわ」



そして──終焉の弾は、王都へ向かって静かに落ち始めた。



焉龍は笑う。

楽しそうに。


「どちらか選ぶがいい」


軽い声。


「民か」


少し首を傾げる。


「己か」


焉龍の赤い瞳が光る。


「避ければ国が吹き飛ぶ」


くすりと笑った。


「終焉は──」


夜空に響く。


「どちらに訪れるかしらね?」



十八皿目『ミレたん、竜王の矜恃を問う』

おしまい

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