二皿目 前菜『我、神ぞ? ミレたん、今日もドヤ顔日和』
アークリンク・ヴァルグレア支部。
朝の光が差し込むアークリンク配達連盟の支部に、ひょこりと現れたのは、黒い角とピンクのツインテール。
「おはよ〜ございま〜す!」
扉をくぐるなり、鼻をひくひく動かしながら声を上げるミレアに、受付嬢のフェリシア・メルティーナが笑顔で手を振った。
「おはようございます。今日も最高にキュートです、ミレアさん♪」
「えへへ♪ …すんすん……今日も朝からいい香り〜♡ フェリシア、おなか空いた!」
にこにこと笑いながら、ミレアは受付カウンターに歩み寄る。
「っ、はいはい、すぐに注文してきますね。何がいいですか?」
「おにく!!」
元気よくピッと手を挙げる。
「は〜い、少し待っててくださいねー」
「うん!」
タッタッタッと小走りで、空いている席にちょこんと座る。
「おっにく♪ おっにく♪」
いつものように、ご機嫌にパタパタ揺れる足先と、わずかにくるくる動く尻尾が、期待を隠しきれていなかった。
木の椅子に腰を下ろしたミレアは、厨房の方をじーっと見つめながら、今日の“お肉”に想いを馳せていた。
──が、そこへフェリシアが、少しだけ困った顔で戻ってくる。
「……あの、ミレアさん。ちょっとだけ、お話が……」
「ん〜? おにくの話?」
「ちがいますっ。えっと、依頼のことなんですけど──」
ミレアが首を傾げると、フェリシアは手に持った数枚の書類をそっと見せる。
「ちょっと厄介なお仕事が入ってて……ミレアさんでも、もしかしたら厳しいかもしれないです……」
そう言って差し出された紙に、ミレアはきゅっと目を細める。
そして──
「ふっ……我、神ぞ?」
ドヤァ……とした表情で、腰に手を添え、胸を張るミレア。
その自信ゆえなのか、見えないはずの後光が──なぜか本当に、淡く差していた気がした。
「我に不可能など、あるまいてっ!」
ドドン、と胸を張るミレアにフェリシアの頬がとろけた。
「はぁ〜……ミレたん、マジ神……。では、この依頼、ミレアさんにお任せしますね!」
「うむっ!」
ポンッ! と軽快な音を鳴らして、スタンプが押された依頼票をひったくる。
「うふふ〜、今日も想いを届けちゃうぞ〜♪」
ドヤ顔。全開。
朝の日差しよりも眩しく。
その笑顔が、支部に光を灯していた──。
二皿目 前菜『我、神ぞ? ミレたん、今日もドヤ顔日和』
おしまい




