第八章 善戦
テイラーの死を胸に刻み、ケイド・マリンズは荒廃した施設の中で息を整える。
煙と破片の匂い、倒れた隊員たちの姿、響き渡る破壊音——すべてが彼の怒りをさらに燃え上がらせた。
生命体は無傷のまま威圧的に前進してくる。
銃弾は四肢に弾かれ、爆発もほとんど効かない。
通常の戦術では勝ち目はない。
ケイドは咄嗟に思案する。
「力で倒せないなら…頭を使うしかない…」
狭い通路に誘い込み、倒壊した柱や電源設備、残された爆薬を組み合わせた即席のトラップを設置する。
突進してくる生命体の逆関節に目掛けて仕掛けを誘導。
だが、生命体の力は予想以上に凄まじく、トラップ設置中にケイドは蹴り飛ばされ、右肩と肋骨を強打。
激痛に息が止まりかけるが、怒りが痛みを超える。
生命体が爆発トラップに接触し、一瞬体をもがく。
ケイドは近くの柱を破壊して転がし、四肢を押さえつける隙を作る。
そこに電源装置をショートさせ、強烈な火花と音で生命体の視覚・聴覚を攪乱。
しかし反撃の途中、生命体の巨大な腕がケイドを叩きつけ、腰と脚に大きな裂傷。
血が床に流れ、視界が一瞬赤く染まる。
それでもケイドは立ち上がり、怒りと絶望を力に変えて最後の決着を狙う。
高圧電源と爆薬を組み合わせ、生命体の中心部に向けて一斉攻撃。
四肢が痙攣し、体が崩れ落ち、ついに動きは止まった。
施設内は静寂に包まれる。
ケイドは膝をつき、血まみれの体を支えながら深く息をつく。
テイラーの最期、仲間たちの死——すべてが胸に重くのしかかる。
だが、この絶望の中で、人間はかろうじて勝利を手にしたのだった。