Episode 5 貧民街の話と見習いメイドの話
どうやらネヴァさんの話を聞く分には、階級制度やそこに絡むルール、風習など以外はだいたい元の世界と大差はないらしい。よかったーーーーこれなら俺もすぐに馴染めそう! ……あれ? まてよ、じゃああの少年が言ってた悪魔がどうのって……?
俺「あのー、ネヴァさん?」
ネヴァ「おう、どうした」
俺「えっと、お二人に会う前貧民街で少年に会ってですね」
ネヴァ「何!? お前貧民街に行ったのか?」
金「えーーーーーー嘘!?」
う、うーんまあそういう反応に、なる、のか?。確かに物騒な場所って言ってたけど……そこまでだったの?ていうか行きたくて行ったわけじゃないんだけど……
俺「行ったと言うか、その向こうの廃村の……そのまた先の焼け野原に転移されて。」
金「やばーーっ!」
ネヴァ「はぁ……それは災難だったな。それでどうやって街まで来たんだ?」
ですよねめっちゃ災難ですよね! これは神が悪いですよね! あと金くんそんなキラキラした目で見つめないで!
俺「とりあえず廃村まで行ってみたら、少年に会って、その少年が街まで連れてきてくれたんです。結構ボロボロだったし、多分彼も貧民街の育ちだと思うのですが……」
ネヴァ「そうか、まあたまたま親切なやつに会えて良かったな。でももうあそこには近づかないほうがいいぞ。」
金「そうだよ、あそこやばいよ。だってやばいんだもん」
情報量何一つとして増えてないんだが。
俺「何がどうやばいんだ?」
金「えーわかんないけど、とにかくやばいって」
なんだよそれ
ネヴァ「うちの屋敷では基本、あそこは立ち入り禁止なんだ。特に見習いの子どもたちはな。だから屋敷の中でもその実態を知ってるやつは少ない。まぁいろいろと危険すぎて根も葉もない噂が飛び交ってるが、アタシもあまり詳しくは……」
なにそれ怖っ 俺そんなところ通ってきたの? てかあの少年に会わなかったらさっきの街にもたどり着けてなかったよね? いやまじで少年ナイスすぎるありがとう まだ幼いのに……今度会えたら全力で拝もう。あれ、そういえば金くんもあの子と同い年くらいに見えるけどお屋敷に仕えてるって……この世界では子どもでももう自立してるのか?
俺「なあ、金くん」
金「なにー?」
俺「今何歳なんだ?」
金「もうすぐ13になるよ!俺来月誕生日!」
俺「ということは、今は12歳?12歳でもう働いているのか?」
金「うーん、働いてる、て言ったら働いてるのかな?」
ネヴァ「一応メイド見習いだから、働いてることにはなるよ。でも行儀見習いも兼ねてるから、おとなになってからもメイドをするとは限らないがな」
金「だってさ」
なるほど、行儀見習いか。12歳って言ったら小6?中1?はぇ〜偉いな〜
俺「でも、まだ12歳で働いてるなんてすごいな」
金「えへへ、そうでしょ」
ネヴァ「でもあまり調子にのるなよ、メイド見習いなんてたくさんいるからな」
俺「え?そうなのか?」
金「ギク でも勉強もしてるし」
ネヴァ「お前こないだの理科の実技テスト、不合格だったそうじゃないか」
金「えっなんでそれを!?」
ネヴァ「水銀から聞いたよ」
金「うわーーーーーっちょっと水銀さぁん余計なこと言わないでって言ったのに!」
ネヴァ「追試は来週土曜午後3時から第一研究室でやるそうだ」
金「うわあん聞こえない聞こえない!」
やば……話に入れない。なんか理科とかテストとか、もとの世界と変わらないな。お屋敷につとめながら学校的なところにも通ってるのか……? 大変だな……ていうか悪魔について聞きそびれちゃった……。まあ話に入れそうにないし、今度聞けばいっか☆