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隣の席が気になるだけ、

作者: かまきり

どこにでもある高校に通う、よくいるオタクのお話です。衝動書きしたものです。

いつからだろう、

隣の席がこんなに気になったのは。




高校1年生の夏。オタク友達もある程度できた私は、安定した学校生活を送れると思っていた。勉強して、放課後は友達と遊び、家では2次元に推しを作って、アニメや漫画を嗜む。順風満帆な高校生活。


そんなある日。

担任の授業終わりに、席替えをすることになった。今の席は好きだったが、2ヶ月ほど過ごしたので、飽きてきたところだった。

「席離れちゃうね〜」

「次の席も近いといいんだけど…そう上手くはいかないよね。」

前後の席だった友達とは、一旦離れることになりそうだ。それぞれくじを引き、席に座る。番号を確認した後、席を移動させる。

移動が落ち着いた後、私は周りを見渡す。すると話せる人がいないことに気づく。私自身、友達が少ないわけではないが、気兼ねなく話せるようになるまで時間がかかるタイプだった。それ加えて趣味が合わないと話す事がないため、いわゆる"陽キャ"とはあまり関わりがなかった。それに加えて、私はオタクといえど、1人でいるのはあまり好きではないタイプだった。

このことを踏まえてもう一度周りを見渡す。

____いない

話せる人も、話せそうな人もいない。

なんなら既に後ろの女子2人は楽しそうに話している。男子も話せる人がいない。友達は遥か遠く(3列ほど離れている)にいる。

私は今、まさに高校生活最初のピンチを迎えたようだ。


私と似たタイプの人ならわかるだろう。

グループワークの授業の時、周りに友達がいないと、"空気"になってしまうことが。

「次の席替えまで待てばいいか…多分2ヶ月後くらいにやるだろう!多分!」



ちなみにこの席、約4ヶ月変わることはなかった。





高校一年生の秋…というかもはや冬。夏休みと秋休み、定期テストを2回終えた11月下旬。

「プリントを、出しやがれ、ください。」

「…」

「頼むよぉ…」

なんと今、プリントを目の前のこいつが提出すれば席替えができる状況にある。出せ。早く。

ちなみにプリントを出さないこいつは比較的仲が良いオタク仲間の男子だ。

いつも寝ているのに、成績は優秀で、リーダーシップもあり、周りにも信頼されている。

陰で努力している、"できる"やつだ。



「席替えします。」

きたぁぁぁ!!と心の中は大騒ぎ。やっとだ。ついにプリントが全員出揃い、念願の席替えに漕ぎ着けた。

「よかったね〜3ヶ月お疲れ様。」

「4ヶ月だよ間違えないでくれ。」

「お〜…悲痛な叫びが。」

運命のくじ引きタイム。今度こそは!と強い祈りを込めて一枚を取り出す。

さて、番号と照らし合わせ、席を移動させる。一通り落ち着いたら、4ヶ月ぶりに周りを見渡す。と、隣には見覚えしかないやつがいた。プリントを出さなかった彼だ。

「これは…どうなんだ?」

「いや、そんな顔で俺に聞かれても…」

この席は当たりなのだろうか。相変わらず周りにオタク仲間はいない。辛いことだ。とても。



という考えは次の日から消えることになる。



隣の席が気になる。ただそれだけ。

たったそれだけである。

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