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099-皇帝の帰還

キロマイア皇国、首都星系――――アースフィル。

そこに、数隻の艦隊が出現した。

その艦隊は、瞬く間にキロマイアのあらゆるセンサーに向けて、国籍コードを発信し始めた。

その名は、「Ve‘z」。

キロマイアの人間たちは、誰かがVe‘zの怒りを買ったのだと思い、絶望した。

ヴァンデッタのように滅び去る運命が決まったのだと。

だが、実際は違った。


『アドラス、敵の艦隊へ向けてトールビヨンを起動せよ』

『りょうかーい!』


アドラスの艦体が変形し、首都惑星の制宙権を掌握していたオルダモン艦隊を、重力波が襲う。

自慢の速度で大半は離脱するものの、中央部にいた船は無限に引き延ばされた時間の中で圧砕され破壊された。


『オルダモン艦隊、左右に展開』

『アドラス、グラビティグラッパーを使い、足止めせよ』

『分かった!』


アドラスに搭載されたグラビティコントローラーが起動して、オルダモンの要撃艦を捕まえた。

そこに、エリガード、ケルビス、メッティーラによるオートタレットの精密射撃が突き刺さり、5秒ほどで全ての要撃艦が撃墜される。


『星系中に招集指令が出ています、どうされますか?』

『僕の権限でスターゲートを停止する。逃げる際に一網打尽にする予定だ』

『畏まりました』


エリアスの権限は最上位のため、最重要インフラのスターゲートを自在に停止できるのだ。

これは退路を断つという面では、これ以上なく強力に働いていた。


『撤退だ! Ve’z相手では分が悪い!』

『アガスラゲート前まで後退せよ!』


艦隊は一斉に撤退していくが、アガスラのゲート付近には遮蔽したジェネラスが隠れており、ゲート前に集結するオルダモン艦隊を見ていた。


『エリアス様。ゲートは正常に停止しております』

『くそっ、ゲートが動かない! 何が起こっている....?』

『おーやおやおや! 後ろには虎! 前には開かないトビラ! そこでそこで、哀れな道化は笑ってかき乱す!』


直後、艦隊の中央で巨大な電磁パルスが炸裂し、艦隊を次々と沈黙させていく。

そして、悠々とポラノルが抜けていった。


『射程距離は問題ないな。ここより攻撃するが、アドラスは先にワープし、グラビティグラッパーで敵を捕まえろ』

『は、はい!』


アドラスはワープしていく。

エリガードの持つ最終兵器パラダイス・ロストは、天文単位を挟む射程距離を持つ。

ジェネラスを下がらせたうえで、エリガードは転進、エネルギー充填を開始する。

即座に充填したエネルギーを、エリアスは何の躊躇もなく放った。

レーザー兵器特有の遅さを克服したパラダイスロストは、光速でアガスラゲートに到達し――――


『きょ、強力なエネルギー波が....!』

『くそう、推力が上がらん、ぐわあああ――――』


艦隊はただの一撃で灰燼と化した。

かつてエリガードの出撃した戦闘で、勝者がいないのも頷ける一撃であった。


『さあ、皇帝よ。自らの城へ戻るといい』

『有難い』


直後、皇帝は首都惑星に通信を送り、それを機に各地で武装蜂起が起こる。

軌道爆撃を受けられないオルダモンの軍隊は、軌道爆撃を行うキロマイア側の軍隊から攻撃を受け、ほとんど時間をかけずに壊滅した。


『...感謝する、我々を救うだけではなく、このような露払いまで』


玉座に戻った皇帝は、エリアスに通信を送った。

これから、償いが始まることを考えつつ。

だが、


『何を言っている?』

『...?』

『オルダモンに堂々と攻撃した以上、Ve‘zもまたオルダモンの敵となる。これは共同戦線だ』

『......そうか、Ve’zというのは...合理的だな』


自分たちを盾にしつつ、陰に隠れてオルダモンを絶滅させる気であると、ハルト皇帝は悟ったのであった。

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